令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説
問1 外来語の取り入れ
ポルトガルと言えば鉄砲伝来の1541年、種子島です。
オランダは徳川幕府の鎖国中に貿易が許された国の一つで、鎖国は大体1600年代半ばくらいから1800年代半ば。
だからポルトガル→オランダの順が自然だと思います。
したがって答えは3です。
問2 アイヌ語の地名
アイヌ語の地名からは、当時の人々の生活がわかります。たとえば「札幌」という地名は、市内を流れる豊平川を「(サト(乾く)ポロ(大きい)ペッ(川))」と呼んだことに由来すると言われています。
アイヌなので北海道だろうってことは予想できるので旭川か札幌の2択にはなりそう。それから何となくパ行があるのは珍しいなーと思って札幌選びました。結果札幌が正解っぽいですね!
ちなみに私の第一言語 津軽弁にもアイヌ語由来の「ちゃぺ(猫)」などあります。90歳近くになるおばあちゃんが今でも使ってます。
したがって答えは2です。
問3 ダイグロシア
ダイグロシアとは、ある社会において高変種と低変種の二つの言語変種が存在し、それぞれが場面や状況によって使い分けられている状態のことです。公的な場面で使用される高変種(H変種)と、私的な場面で使用される低変種(L変種)に分けられます。
1 これは名前がありますか?
2 ダイグロシアの説明
3 言語接触によって起きる「取り替え」という現象の説明です。
4 言語接触によって起きる「混交」かな?
したがって答えは2です。
問4 リンガフランカ
リンガフランカとは、異なった言語を話す人や集団同士の意思疎通に用いられる共通語のことです。日本語を学習している中国人と韓国人が意思疎通するために日本語を使用するとき、日本語が彼らのリンガ・フランカにあたります。現代では英語が全世界に広く普及しているため、単に英語のことを指すことが多くなっています。
過去問から見ても、リンガフランカを説明するときに「共通語」という言葉が絶対あります。
1 これがリンガフランカの説明。「共通語」があるし。
2 公用語の説明だと思います。
3 これも公用語の説明だと思いますけど。
3 これも公用語の説明。国連の公用語とか言いますしね。
したがって答えは1です。
問5 ピジンとクレオール
この問題の作りは親切じゃない。
「クレオールに関して、ピジンと比較した記述」とは、つまりクレオールについて考える問題ってこと。各選択肢に主語「クレオールは」ってちゃんと書いて解きました。なんか混乱します。
ピジン
異なる言語を話す者同士が意思疎通するため、お互いの言語の要素を組み合わせて作られた接触言語のことです。お互い正しい意思疎通をするために文法が単純化されたり、一つの単語が多義的に用いられたり、発音も簡略化される傾向があります。
クレオール
ピジン言語が長期間使用されることによってその地域に住む人々の母語として定着し、話されるようになった言語のことです。ピジンよりも単語が多くなり、文法が整っている傾向があります。
選択肢1
ピジンは発展途上で母語話者はいません。ピジンを使っていた人々の次世代、次々世代になってようやくクレオール化し、母語話者が生まれます。だからこの選択肢は正しい。
選択肢2
クレオールは時間をかけて整えられた言語なので、さすがに公用語に昇格できたものもあるだろうと思ったら本当にありますね。
参考:クレオール言語 – Wikipedia
選択肢3
文法構造が未発達なのはピジンです。クレオールはピジンよりも整っています。この選択肢は間違い。
選択肢4
ピジンは異なる言語を話す者同士の接触言語なので、複数の言語の語彙が含まれているのは当然のこと。そのピジンが整ってできたクレオールもピジンの性質を引き継いでいるので、複数の言語の語彙が含まれいて当然。
したがって答えは3です。