バイリンガリズムとバイリンガル教育についてまとめ!
目次
バイリンガリズム
2つ以上の言語を話す人のことを多言語話者と言います。うち、2つの言語を話すのはバイリンガル、3つの言語を話すのはトリリンガル、4つ以上の言語を話すのはマルチリンガルです。ちなみに1つの言語だけ話す人はモノリンガルと呼びます。
バイリンガルはその習熟度や習得時期、母語との関係、四技能の熟達度によって様々な種類に分けられます。
習熟度 | 均衡バイリンガルバランスバイリンガル | 2つの言語を年齢相当の母語話者レベルで扱えるタイプ。 |
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偏重バイリンガルドミナントバイリンガル | 片方の言語のみ年齢相当の母語話者レベルで扱えるタイプ。 | |
限定的バイリンガルダブル・リミテッド・バイリンガル(セミリンガル) | どちらの言語も年齢相当のレベルに達していないタイプ。 | |
習得時期 | 達成型バイリンガル | 子ども時代を過ぎてから第二言語を使用するタイプ。 |
獲得型バイリンガル | 幼児期から第二言語を使用するタイプ。幼児期から二言語に触れることで同時に獲得したタイプを同時バイリンガル、1つ目の言語を習得してから2つ目の言語を習得したタイプを連続バイリンガルと呼ぶ。 | |
母語との関係 | 付加的バイリンガル加算的バイリンガリズム | 第二言語習得によって母語や母語の文化が失われず、更なる価値観が得られるタイプ。 |
削減的バイリンガル減算的バイリンガリズム | 第二言語習得によって母語を失ったり、母文化を損なうタイプ。 | |
四技能の熟達度 | 聴解型バイリンガル | ニ言語とも「聞く」はできるが、その他の技能は1つの言語でしかできないタイプ。 |
会話型バイリンガル | ニ言語とも「聞く」「話す」はできるが、その他の技能は1つの言語でしかできないタイプ。 | |
読み書き型バイリンガルバイリテラル | 二言語で「聞く」「話す」「読む」「書く」の四技能ができるタイプ。 |
※通常「バイリンガル」というとニ言語を完璧に扱う、あるいは上手に扱う人を指すように感じるかもしれませんが、そのレベルを問わず、日常で二言語を使う人もバイリンガルです。
言語だけでなく、習慣や価値観、道徳観などの文化習得状況からも分類できます。
デカルチュラル | どの文化にも帰属意識が持てずに文化的アイデンティティを失っているタイプ。 |
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モノカルチュラル | 1つの文化や価値観を身につけているタイプ。 |
バイカルチュラル | 2つの文化や価値観を身につけているタイプ。 |
バイリンガル教育
バイリンガル教育とは、二つの言語能力を育成するための教育のことです。到達目標によって2つに分けられます。
最終目標は一言語使用(消極的) | 移行型バイリンガル教育 | 家庭で使用する言語から社会で使用する言語に移行して、社会に同化させるために行われる。 |
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サブマージョン・プログラム | 少数派言語の学習者を多数派言語のクラスに置いて多数派言語しか使用せずに行う教育。サブマージョンは「沈める」の意。 | |
最終目標はニ言語使用(積極的) | 維持型バイリンガル教育 | 家庭で使用される少数派言語と社会で使用される多数派言語を同時に伸ばし、アイデンティティの強化を図る教育。 |
イマージョン・プログラム | 学校で二つの言語を使い分け、第一言語を維持しながら第二言語を習得させるとともに教科学習も行う教育。イマージョンは「浸す」の意。 |
イマージョン・プログラムはその開始時期と目標言語との接触時間によってさらに分類されます。
開始時期 | 早期イマージョン | 幼稚園の段階から始める |
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中期イマージョン | 小学校中学年から始める | |
後期イマージョン | 中学校から始める | |
目標言語との接触時間 | 完全イマージョン | 全ての科目が目標言語で行われる |
部分イマージョン | 一部の科目が目標言語で行われる |