誤用と転移についてまとめ!

 ここではエラー関係の用語、転移についてなどについてまとめています。
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誤用

誤用の大まかな分類

 学習者の誤用は、つい間違えてしまったというタイプのミステイクと、言語能力が不足していることによって起きるエラーに分けられます。

程度 グローバルエラー
全体的な誤り
コミュニケーションに大きな支障が出るエラーのこと。「これはAさんにもらったプレゼントです」が「これはAさんがもらったプレゼントです」になるようなエラー。
ローカルエラー
局部的な誤り
コミュニケーションに影響が少ないエラーのこと。「私は学校で勉強をします」が「私は学校に勉強をします」になるようなエラー。
原因 言語間エラー
言語間の誤り
母語による影響で生じた誤りのこと。中国語母語話者が「宿題をします」を「宿題を書きます」と言ったり、「薬を食べます」と言う等。
言語内エラー
言語内の誤り
母語とは関係なく、第二言語の学習の不完全さから生じた誤りのこと。「雨が降りました」と「雨を降りました」と言う。言語内エラーには過剰般化や簡略化などがある。

 

言語内エラーの下位区分

 言語内エラーはさらに以下のような種類があります。

過剰般化
過剰一般化
文法的な規則を他のところにも過剰に適用することによって起きる言語内エラーの一種。例えば「安くはありません」を「安いではありません」と言うのは、ナ形容詞の規則をイ形容詞に適用したために生じていると考えられる。
簡略化 言語規則を省略して使用することによって起きる言語内エラーの一種。助詞が抜けて「私学校行く」となる誤りなど。
訓練上の転移 教師による不適切な指導が原因で生じる学習者のエラーのこと。

 

U字型発達曲線

 言語習得は一直線に進むのではなくU字型曲線を描きます。上の図のように、一度産出できるようになってから誤用産出の段階に戻り、再び正用を産出できるようになる言語習得の過程を表した曲線をU字型発達曲線と呼びます。

 初級の段階では簡単な表現をそのまま暗記、記憶するので限定的な使用にとどまり、覚えたものをそのまま使うのでエラーが少なくなります。

 中級では初級よりも多くの表現を使えるようになっているので、より応用的かつ創造的な表現を使うようになります。しかし複雑な文法、語が持つニュアンスなどに触れた結果、それまで学んだこととの整合性が取れなくなったりして混乱が生じやすく、エラーが目立つようになります。

 上級では度重なるアウトプットとフィードバックにより言語能力が上達、習熟し、エラーが減っていきます。

 

言語習得過程と誤用に関する用語

逆行
バックスライディング
第二言語習得過程において、一度修正された誤用が再び現れること。
化石化 エラーが修正されないまま定着してしまうこと。
定着化 間違いのない言語使用ができるようになること。

 
 

転移

 学習言語の学習過程において、母語の規則を学習言語に適用することを転移と言います。転移は単語、文法、文字、音声などに発生します。
 母語と学習言語との間に何らかの共通点があり、それが学習を促進させる場合の転移を正の転移、逆に母語と学習言語との間の差異が著しく、学習言語の習得を妨げる場合の転移を負の転移と呼びます。

 単に転移とも言いますが、母語の転移、言語転移、母語の干渉など多くの言い方があります。

 

プラグマティック・トランスファー/語用論的転移 (pragmatic transfer)

 許可を取ったり、依頼したり、断ったり、謝ったり、お礼を言ったりするときは、言語によってそのやり方が違います。そういったやり方、母語の言語使用の習慣や社会文化的規範を目標言語に適用して使うことを語用論的転移と言います。語用論的転移にも正の転移と負の転移がありますが、このうち負の転移は語用論的誤り(pragmatic failure)と呼びます。

 語用論的誤りでよく挙げられる例は英語の「Would you like to~?」です。直訳した「~したいですか?」をそのまま使って目上の人に「私と一緒にご飯に行きたいですか?」と言うなど… 英語の規範では適切なのに、日本語に適用すると不適切になってしまいます。





2020年11月22日日本語教育能力検定試験 解説, 用語集