「危ない」と「危うい」の違い

「危ない」と「危うい」は危険性を表すイ形容詞です。
 今回はこの2つの違いについて考察します。ご指摘はコメントからお願いします。

 

「危ない」と「危うい」の違い

「危ない」の意味は4つ

 「危ない」が持つ用法は4つです。

 ①生命の危機、怪我の恐れ、何らかの損害
 (1) 川で遊ぶのは危ない
 (2) ストーブに近づくと危ないよ。
 (3) 危ないから走らないで。

 ②存続困難(組織や立場、地位など)
 (4) あの銀行は危ない
 (5) そろそろ結果を出さないと私の立場も危ない
 (6) 解雇されて生活が危ない

 ③望んでいる結果が期待できず、悪い結果になる可能性が高い
 (7) このままでは合格は危ない
 (8) このままでは当選は危ない
 (9) 成績不振でグループリーグ突破も危ない

 ④信用できない
 (10) 彼が本当の事を言っているかどうか危ないものだ。
 (11) あの占い師の言うことは危ない
 (12) 危ない業者とは取引しないようにしましょう。

 

「危うい」の意味は3つ

 「危うい」は、「危ない」にはあった信用できないという意味がありません。それ以外の3つは共通しています。

 ①生命の危機、怪我の恐れ、何らかの損害
 (13) 二度寝して危うく遅刻するところだった。
 (14) 山で迷って危うく遭難するところだった。
 (15) 対処が遅れていたら、危うくまた犠牲者が出るところだった。
     (如果处理得晚的话,差点又会出现牺牲者。)
 (16) ドッペルゲンガーに出会うのは、自分の命が危うい予兆らしい。
 (17) 髪の毛が危うい

 ②存続困難(組織や立場、地位など)
 (18) 成績不振でグループリーグ突破も危うい
 (19) 家計が危うい
 (20) 経営が危うい

 ③望んでいる結果が期待できず、悪い結果になる可能性が高い
 (21) 無事就職できるか危うい
 (22) この成績では卒業できるかも危うい
 (23) 天気も危うく、良い週末にもなりそうもない。

 

はっきり見える危険は「危ない」、潜んでいる危険は「危うい」

 (24)川で遊ぶのは危うい
 (25)ストーブに近づくと危ういよ。
 (26)危ういから走らないで。
 (27)女性が夜一人で歩くのは危うい

 「危ない」も「危うい」も生命に何らかの危険を及ぼすことを表せるのですが、上記のようなケースでは「危ない」を使う方が自然な表現です。

 危険性がはっきり知覚できている状況下では「危ない」の方が使いやすく、危険性が潜んでいてはっきり見えない場合は「危うい」になりやすいものと思われます。

 

「危うい」は危機を寸前で回避することを表す文型がある

 「危うい」は、「危うく~ところだった」「危うく~そうだった」の文型を取り、危機を寸前で回避することを表します。逆に「危なく~ところだった」はありません。

 (13) 二度寝して危うく遅刻するところだった
 (14) 山で迷って危うく遭難するところだった
 (28)二度寝して危なく遅刻するところだった
 (29)山で迷って危なく遭難するところだった

 「危ない」にも危機を回避する意味で「危ないところだった」「危なかった」という言い方もありますが、これを用いると表現がどうしても重複してしまいます。重複するだけで間違いではありません。

 (30) 危ないところだった。二度寝して遅刻するところだった
 (31) 危なかった。遭難するところだった

 

その他の違い

 「危ない橋を渡る」は慣用表現なので、「危うい橋」とは言えません。

 (32)〇危ない橋を渡る
 (33)✕危うい橋を渡る

 以下はどちらも正しいですが、「危うい」のほうが使用頻度が高めです。合格できるかどうか本人も分からないという曖昧さが潜在的危険に当たります。

 (34)〇このままでは合格できるかどうか危ない
 (35)〇このままでは合格できるかどうか危うい

 

まとめ

危ない 危うい
①生命の危機
②存続困難
③悪い結果
④信頼できない
使い分け 顕在的危険 潜在的危険
使用範囲 口語的 比較的文語的

 ちなみに、似ている意味で「危なっかしい」もあります。
 「危なっかしい」は第三者視点見て危ない感じがすることを表します。主観的判断が強く含まれるのが特徴です。

 (36) ブランコ立ち乗りは危ない
 (37) 子供がブランコに立ち乗りしていて危なっかしい

 





日本語の色んなお話