「わけ」と「はず」の違い

 

「わけ」と「はず」の違い

「わけ」は客観的な事実、「はず」は主観的な意見

 「わけ」は論理的に導き出された結論を述べ、その根拠が明確、かつ本人が当然そのような結果になると確信を持っているときに用います。

 (1) 人には人の事情というものがあるわけですから、あまり詮索しないようにしましょう。
 (2) 室温が28度じゃ、どうりで暑すぎるわけだ。

 「はず」は主観的な推論による結論を述べるときに用いやすく、結果に対する確信度は低めで不確実的です。

 (3) もうすぐバスが来るはずです。
 (4) Aさんはビールを飲まないはずだ。昔からそうだから。
 (5) 今日は雨が降るはずです。

 例文(4)では、昔Aさんはビールを飲まなかったということは知っているのですが、今はどうだか確信を持てず、話者の予想で「今も飲まないはずだ」と言っています。100%の確信に至っていないのが「はず」のニュアンスです。

 

責任感のある「わけ」、無責任な「はず」

 例えば、獣医さんがこんなことを言ったとします。

①猫は体調が悪くても口で伝えることができませんから、飼い主が普段からよく観察し、異常をいち早く発見してあげる必要があるわけです。
 
②猫は体調が悪くても口で伝えることができませんから、飼い主が普段からよく観察し、異常をいち早く発見してあげる必要があるはずです。

 同じに見えますが、「わけ」と「はず」の違いによってニュアンスが大きく異なっています。

 ①は「わけ」を使っているので理論的に導き出された結論を述べています。この獣医さんは内容に対して確信を持っているので、発言に責任感があります。
 一方、②は主観的な推論を述べる「はず」を使っています。「はず」は結果に対する確信度が低いときに用いるので、専門家である獣医さんが猫のことに対して自信なさげに話している無責任な様子が浮かび上がります。

 上記の責任感の有無は、「わけ」と「はず」の確信の度合いに起因するものです。

 

「はず」は未来に使えるが、「わけ」は使えない

 「はず」は客観的な事実を述べるという性格上、未来のことを確定的に述べることは難しいです。未来のことを述べる場合は、主観的な推論を表す「はず」が用いられます。

 (6) 明日は土曜日だから、父は休みのはずだ。
 (7)✕明日は土曜日だから、父は休みのわけだ。
 (8) 午後から雨が降るはずだ。
 (9)✕午後から雨が降るわけだ。

 

実質名詞の「わけ」は「はず」に置き換えられない

 「わけ」は文中で「原因」や「理由」に置き換えられることがあり、このような「わけ」は実質名詞と呼びます。そしてこれらは「はず」には置き換えられません。なぜなら「はず」は実質的な意味を持たない形式名詞だからです。

 (10) 私は行けない。そういうわけだから君たちだけで頑張って。
 (11) 私は行けない。そういう理由だから君たちだけで頑張って。
 (12)✕私は行けない。そういうはずだから君たちだけで頑張って。

 実質名詞の「わけ」は、何らかの理由や原因に納得する用法もあります。この使い方のときは基本的に話者の独り言です。

 (13) 彼が来ないのはそういうわけだったのか。
 (14) 彼が来ないのはそういう原因だったのか。
 (15)✕彼が来ないのはそういうはずだったのか。

 

まとめ

わけ はず
客観的な事実 主観的な意見
責任感あり 無責任
未来のことに使えない 未来のことに使える
実質名詞としての用法あり 形式名詞のみ




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