経験回数や頻度が低いことを表す「たことがある」の注意点

 「~たことがある」は経験を表す文型ですが、その経験の多さや頻度はどの程度かという質問を受けました。

 (1) 万里の長城に行ったことがある
 (2) 宝くじで高額当選したことがある
 (3) Macは使ったことがあるけど、慣れてなくて使いにくかった。

 この文型を用いるときは「万里の長城に行ったことがある」等のように比較的珍しい経験を表すケースが多いので、その経験は1度2度、または全体に対する頻度が低いときに使えます。毎日お風呂に入っている人が「お風呂に入ったことがある」というと違和感があるように、経験回数や頻度が高すぎると使いにくいです。

 (4)✕(毎日お風呂に入っている人が)お風呂に入ったことがある
 (5) (お風呂に入る習慣のない人が)お風呂に入ったことがある
 (6)✕(プロ野球選手が)野球したことがあります
 (7) (野球経験が乏しい人が)野球したことがあります
 (8)✕(浅草に住んでいる人が)浅草に住んだことがある
 (9) (浅草に住んでいた人が)浅草に住んだことがある

 同様にプロ野球選手が「野球したことがあります」というとやはり違和感があります。しかしこの場合は何千時間、何万時間と野球に没頭してきたプロが自分自身の能力を卑下し、まだまだ練習不足であると謙遜している様子も表せますので、回数や頻度が多いからといって必ずしも不自然になるとは言えません。上記の(4)~(9)は主語の状況や文脈によって解釈が変わるケースです。

 (10) 毎日お風呂に入っている
 (11) 毎日野球をしている
 (12) 浅草に住んでいる

 逆に、経験回数や頻度が高い場合は習慣的な動作を表す「~ている」が使えます。

 珍しく頻度が低い経験は「~たことがある」、頻度が高く習慣的な動作は「~ている」になります。





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