令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 内容言語統合型学習

 内容言語統合型学習(CLIL:Content and Language Integrated Learning)
 学習者の目標言語で教科を学ぶ教育法で、Content(科目内容)、Communication(言語力)、Cognition(思考力)、Community(協同学習)、あるいはCulture(異文化理解) の4つの要素によって授業を組み立て、それらをバランスよく育成することを目的とする。基本は目標言語だけで授業をするが、学習者が困っている場合は部分的に媒介語を使用してしっかり支援する。

 1 基本は目標言語で授業しますが、学習者が困っていたら媒介語の使用も部分的に認められています。
 2 意味を重視するのはフォーカス・オン・ミーニングですが、CLILはフォーカス・オン・フォームの教授法です。意味を重視しつつ、必要があれば言語形式も教えます。
 3 その通りです。学習者が困っていたらしっかり支援します。
 4 CLILは言語形式を重視したフォーカス・オン・フォームズの教授法ではないので、細かく一つひとつ指導するわけではありません。

 したがって答えは3です。

 

問2 資料

 1 資料1はともかく、資料2は生教材ですので、学習済みの語や文法だけで構成されているとは限りません。生教材には手を加えずそのまま授業で使うべきです。
 2 正しいです。
 3 正しいです。
 4 正しいです。

 したがって答えは1です。



問3 スキミング

 読解において、普段のスピードよりも速く読むことを速読と言います。速読は以下の2つに分けられます。

スキャニング 大量の文章から特定の情報を探し出すための読み方のこと。名簿から特定の名前を見つけたり、辞書で言葉の意味を調べるときなどに用いる読み方。スキャニングにはトップダウン処理がより必要とされる。
スキミング 文章の要点や全体の大意を理解するための読み方のこと。

 1 言語形式(文法)と内容の両面を丁寧に読む精読に近い読み方だと思います。
 2 「大まかな意味を理解する」が「大意を理解する」と一致しますので、スキミングの説明です。
 3 精読でしょうか?
 4 「必要な情報を速く探す」がスキャニングと一致します。

 したがって答えは2です。

 

問4 思考ツール

 ”問題の要因を細分化して整理”するには、上記のようにフィッシュボーンチャートが使えます。これはある結果がどのような要因によってもたらされたかを図式化し、整理するために行います。
 したがって答えは1です。

 

問5 自分の意見を書かせる

 1 正しいです。
 2 自分の意見を書いてもらう活動なので、これまで出た意見を整理するよりも、自分の中の考え方を整理したほうがいいです。
 3 学習の内省に繋がる活動で、新しく学んだ言語形式を多用する必要はないです。
 4 「自分の意見を書かせる」のに、グループの意見と齟齬がないようにまとめさせるのは間違っています。

 したがって答えは1です。

 




2023年8月26日令和元年度, 日本語教育能力検定試験