令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

問1 コミュニカティブ・コンピテンス

 文章中に「ハイムズ」「コミュニケーション」という言葉があります。ここからコミュニカティブ・コンピテンスを思い浮かべることができたらずいぶん勉強されてる証拠です。

 コミュニケーション能力に関して、ハイムズはコミュニケーションには正しい言語形式を使用するだけではなく、場面や状況に応じた使い方をすることが必要だと提唱しました。これを伝達能力(コミュニカティブ・コンピテンス)と言います。

 ここではコミュニケーションの話をしてるんで、コミュニケーションに一番近そうな言葉を選ぶとすれば選択肢2。上記の知識がなくても解けそう。
 したがって答えは2です。

 

問2 詩的 (poetic) 機能

 ヤコブソン (R.Jakobson)が提唱した言葉の6つの機能は以下です。

情動的機能 感嘆詞や間投詞などの相手に気持ちを伝えようとする機能。
詩的機能 言語の具体的な内容よりも、言語そのものを使って遊べる機能。俳句、リズム、音の響き、しり取り、しゃれ、早口言葉など。
能動的機能 話し手の発話によって相手を動かす機能。命令、依頼、禁止、要請など。
交話的機能 他者との関係性を構築したり維持したりする機能。挨拶、相槌、会話など。
指示的機能 出来事や事象をそのまま描写する機能。「向こうに山が見える」など。
メタ言語的機能 ある言葉が、他の言葉によって説明でき、言い換えられる機能。

 俳句、ラップなどの言葉遊びが詩的機能にあたります。「しゃれ」「早口言葉」「しり取り」も言葉遊びに一種で詩的機能に分類されます。

 ヤコブソンが提唱した言語の6つの機能はコミュニケーションに関与する諸要素に基づいており、そもそも相手が存在しない状態で発される「独り言」はコミュニケーションと関係ありませんので上記の6つの機能にも当てはまりません。

 答えは3です。
 ヤコブソンの分類は過去に1度出題されたことがあったかな? そんなに重要じゃないんで、6つ全部覚えようなんてことはしなくてもいいです。なんなら捨てても。

 

問3 交渉会話

 交渉会話、交流会話は尾崎(1996)の用語だそうです。
 交渉会話は、情報のやりとりを通して何か具体的な物事の処理を行う会話のこと。
 交流会話は、日常で行われる雑談など、話の内容よりも会話を通じた人間関係の維持に重点がある会話のこと。

 1 交流会話:典型的な日常会話、人間関係の維持重視の会話
 2 交渉会話:交渉によって食事に行く約束が決まっています
 3 交流会話:典型的な日常会話、人間関係の維持重視の会話
 4 交流会話:典型的な日常会話、人間関係の維持重視の会話

 定義はともかく、「交渉」っぽいのは2だなーって感じで答えを導けそうです。
 答えは2です。

 

問4 スピーチレベルシフト

 スピーチレベルシフト/スピーチスタイルシフトとは、1つの場面で1人の話者が普通体から丁寧体、あるいは丁寧体から普通体へと切り替えて丁寧さの度合いを変化させることです。

 選択肢1
 「A:何してんの?」「B:勉強」「A:明日試験だっけ?」「B:そうですが何か?」のように、普通体が用いられていた関係で突然丁寧体を用いるとき、相手に対する怒りを表すことがあります。

 選択肢2
 強く共感している場合は「そうそう!」みたいに普通体を維持しやすいと思います。

 選択肢3
 普通体よりも丁寧体は堅苦しい感じを与えますので、その堅苦しさを一時的に和らげるには普通体が用いられます。

 選択肢4
 自身に向ける発話というのは、たぶん独り言のことでしょうか? だとすれば独り言は普通、普通体です!

 したがって答えは1です。

 

問5 フィラー

 フィラーとは、「あのう」「そのう」「えっと」などの言い淀み、言葉を探しているときに発せられる言葉のことです。

 1 言い淀んでる間に聞き手に発話の機会を与えることはできますが、フィラー自体に発話の意味を婉曲的に表現する効果はありません。
 2 プロミネンスの説明です。
 3 フィラーの効果についての記述です。言い淀みは時間を稼いでなんて言うか考えるのに使えますし、フィラーによって相手が自分の発話により注意するようになります。
 4 相槌の説明です。

 したがって答えは3です。

 





2020年9月22日令和元年度, 日本語教育能力検定試験 解説