令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説
問1 集団語
集団語とは、ある特定の集団の中で用いられる言葉のことです。
ここでは職業の集団語なので、特定の職業の中で慣用的に用いられる言葉を探します。
1 「チャレンジする」は「挑む」の外来語です。
2 「噛む」は芸人さんなどがよく使う集団語です。
3 「衣紋掛け」はハンガーの和語です。
4 「ご不浄」はトイレの婉曲表現です。
したがって答えは2です。
問2 若者言葉
1 若者言葉は若い人中心に使われる言葉なので、キャンパス言葉も、若い社会人が使う言葉も若者言葉の一種です。
2 SNS上でも話し言葉は使われます。
3 アルバイトは元々ドイツ語で、明治時代から学生の間で使われていた隠語だそうです。確かに今でも使われています。
4 「T」を「テー」と発音する傾向があるのは若者ではなく、年配の方に多いです。(老人語)
したがって答えは4です。
問3 ネオ方言
ネオ方言とは、標準語と方言の混交形式として生まれた中間的な言い方のことです。よく例として挙げられるのが「こーへん」です。標準語の「来ない」が関西方言の「けーへん」「きーへん」「きーひん」と混ざりあって、「こーへん」が生まれたとされています。
1 こういうのに名前があるんですか?
2 気づかない方言
3 ネオ方言の説明です。
4 ????
選択肢3の「共通語と地域方言が混ざり合って」の部分がネオ方言です!
したがって答えは3です。
問4 言葉の男女差と年齢層
1 正しいです。「降るわよ」は20代女性よりも、50代女性のほうが使用します。
2 「降るわよ」を使うのは男性ではありません。
3 「雨だぜ」を使うのは女性ではありません。
4 「雨だぜ」は50代男性よりも、20代男性のほうが使用します。
したがって答えは1です。
問5 役割語
役割語とは、特定の人物像を想起させる言葉のことです。「わし」からは老人、「わたくし」からは気品のある女性をイメージできたりします。実際に使われていたものをステレオタイプ化した表現が多いですが、存在しないものや人以外の生き物にも用いられたりします。棒読みの「ワレワレハウチュウジンダ」が宇宙人を表したり、「~ニャ」「~ワン」、ピカチュウの「ピカピカ」などもそうです。そのほとんどは実際の言語活動にはほとんど見られませんが、ドラマ、映画、小説、アニメなどにおいて、聞き手にその登場人物のイメージを一瞬で想起させ植え付けることができるので便利ですね。
1 主人公のみならず、登場人物であればそのイメージにあった役割語が用いられます。
2 逆です。人々が抱くその人物に対するイメージを強める働きがあります。
3 正しいです。実際の人物が用いる表現と役割語は必ずしも一致するとは限りません。
4 逆です。現実に存在しない架空の人物にも用いられます。ピカチュウとか…
したがって答えは3です。