令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3D解説

 2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3D
 D【モダリティ】

(16)認識的モダリティ

 対事的モダリティはさらに認識的モダリティ (epistemic modality)と拘束的モダリティ (deontic modality)に分類されます。

 認識的モダリティは事態の真偽や可能性、蓋然性などに対する判断を表します。

確信 にちがいない、はずだ
推量 だろう、まい
蓋然性判断 かもしれない、にちがいない
証拠性判断 らしい、ようだ、そうだ
当然性判断 はずだ
伝聞 そうだ
説明 のだ、わけだ

 拘束的モダリティは主語に対する義務や許可などを表します。

適当 べきだ、ほうがいい、~ばいい
義務/必要 しなければならない、ざるをえない
許可 してもいい、のだ
禁止 してはいけない

 1 「べきだ」は主語の行動を拘束する働きがあるので拘束的モダリティ
 2 この「のだ」は主語の行動を許可する働きがあるので拘束的モダリティ
 3 「なさい」は命令形で主語の行動を拘束する働きがあるので拘束的モダリティ
 4 「まい」は否定推量、否定意志などの意味がありますが、この用法は否定推量(~ないだろう)です。可能性に関する判断ですから認識的モダリティです。

 したがって答えは4です。

 

(17)確信を表す認識的モダリティ

 「彼は頭が良いに違いない」は、彼の言動、振る舞いなどから主観的かつ直感的に判断された結果を述べています。
 「彼は頭が良いはずだ」は、彼の経歴などから客観的かつ論理的に判断された結果を述べています。

 したがって答えは2です。

 

(18)モダリティに呼応する副詞

 ここでいう「述部の認識的モダリティ」とは、上述した通り、事態の真偽や可能性、蓋然性などに対する判断を表す語のことで、「に違いない」「かもしれない」「だろう」「はずだ」などを指します。これらに呼応する副詞には「たぶん」「おそらく」「きっと」「絶対」などがあります。

 選択肢1
 「めったに」は後項に必ず否定形が呼応します。
 この文の述部には認識的モダリティの「だろう」がありますが、「めったに」と呼応しているわけではありません。

 選択肢2
 述部にある認識的モダリティ「らしい」に対して「どうやら」が呼応しています。
 「どうやら」は他にも後項に「らしい」「ようだ」「そうだ」などが呼応します。

 選択肢3
 終助詞「よね」は対人的モダリティなので認識的モダリティではありません。また、この文の述部には認識的モダリティがないです。
 しかし「まさか」は後項に「だろうか」「かもしれない」などの認識的モダリティが呼応することが多いので、「まさか」には述部に対する働きかけを持っていると考えるのが自然です。

 選択肢4
 この文には認識的モダリティがありませんが、「きっと」は後項に「はずだ」「に違いない」などの認識的モダリティが呼応することがあります。

 したがって答えは1です。

 

(19)拘束的モダリティ

 選択肢1
 拘束的モダリティは「~したほうがいい」などと聞き手への要求を表すこともできますし、「(私たちは)~すべきだ」のように話し手自身の行為の意向も表すことができます。

 選択肢2
 正しいです。「したほうがいい」「するほうがいい」のように、拘束的モダリティ「ほうがいい」の前がル形であろうとタ形であろうと意味は変わりません。ル形とタ形の対立が生じるのは、「したほうがいい」「したほうがよかった」と拘束的モダリティ自体がル形、タ形になった場合です。

 選択肢3
 「~したほうがいいらしい」のように、拘束的モダリティ「ほうがいいらしい」の後に認識的モダリティ「らしい」が後続するので、この選択肢は誤りです。

 選択肢4
 「私/あなた/彼は~しなければならない」のように、拘束的モダリティを用いる場合に人称制限はありません。

 したがって答えは2です。

 

(20)必要と許可を表す拘束的モダリティ

不必要 適当
不必要 許可
必要 適当
必要 許可

 したがって答えは4です。





2020年4月22日令和元年度, 日本語教育能力検定試験 解説