令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3C解説

2021年10月10日令和元年度, 日本語教育能力検定試験 解説

(11)助詞

 1 助動詞 「私は学生なのだ」
 2 副詞 「もう合格しました」
 3 比較や起点を表す助詞 「AよりBが好き」
 4 形式名詞 「私の趣味は寝ることです」

 したがって答えは3です。
 この問題は落としちゃいけないやつです。4つから格助詞選べばいいだけなので。

 参考:格助詞の用法一覧

 

(12)取り立て助詞

 取り立て助詞とは、文面にはない情報を暗示して意味を加える助詞のことです。例えば、「私も日本人です。」では、まず「私は日本人である」ことを明示しつつ、「も」によって「自分以外にも日本人がいる」ことを暗示しています。このときの「も」は取り立て助詞です。

 選択肢1
 これは並列助詞の説明です。「AやB」「AやらBやら」などなど。

 選択肢2
 モダリティについての説明です。
 「たぶんそうかもしれないね」の「たぶん」「かもしれない」は命題に対する話し手の主観的判断を表してます。あとは終助詞の「ね」も聞き手に対する態度を表してます。これらは全部モダリティ表現です。
 参考:ヴォイス・アスペクト・テンス・モダリティについて

 選択肢3
 格助詞についての説明です。「ごはんを食べる」は、「ごはん」が名詞句、「食べる」は述部、その間の意味的・統語的関係を表すために格助詞「を」が使われてます。この「を」は他動詞の対象を表す用法です。

 選択肢4
 取り立て助詞の説明です。「暗示された要素」という部分がポイントですね!

 したがって答えは4です。

 

(13)「も」の基本的な用法

 文章中に「『も』の基本的な用法」とあります。「私も学生です」「夏も冬も好き」のような「も」の使い方を指しています。この「も」は他の事柄と同様であることを表す並列や付加の意味を持ちます。

 私は選択肢3「類似」を選んでしまいましたが、冷静に考えると「並列」ですね…
 したがって答えは1です。

 

(14)命題を取り立てる取り立て助詞

 「私も日本人です」では、「私」を「も」によって取り立て、私と同類の要素も存在することを暗示します。このように取り立て助詞は通常直前の要素を取り立てます。しかし、問題文にもあるように直前の要素だけではない広い範囲を取り立てることもあります。それは次のような例です。

 (1) 寒気がするし、熱出てきた。

 この累加の「も」が直前の要素「熱」を取り立てているとすれば、「熱」と同類の要素が存在し、それらも「出てくる」必要があります。しかし「熱」以外に「出る」ものは想定されませんので、直前の要素「熱」だけを取り立てているとは考えられません。この文は風邪の一般的な症状である「寒気がする」「熱が出る」「体がだるい」「関節が痛い」などを同類として扱い、そのうち「熱が出る」という事態全体を取り立てています。したがって「寒気がするし、熱が出てきもした」という言い方と同じ意味になります。

 選択肢1
 「早くも」の「も」は「早く」を取り立てているのかどうか微妙です。そもそも副詞「早くも」という一語なんじゃないかなあと思っていますがどうでしょうか…
 後ろの「来年にも」は、「来年」をぼかしの「も」で取り立てています。ぼかしの取り立てとは、取り立てる要素と同類のものが他のも存在することを暗示しながら意味をやわらげたり、ぼかしたりするものです。「来年」といいつつ、来年かどうかは確定していない、もしかしたら再来年かもみたいなぼかした含みが感じられると思います。このようにこの「も」は「来年」「再来年」のような同類の存在を暗示していますので、直前の要素「来年」を取り立てています。

 選択肢2
 「日本」と「海外」を累加の「も」で取り立てています。ここでは「日本」と言っていますが、実際の使い方の意味としては「国内」でしょう。
 「国内(日本)」と同類の要素は「国外」、「国外」と同類の要素は「国内(日本)」です。なので「この車は日本でも評判がよい」と言えば海外でも評判がいいことが伝わり、「この車は海外でも評判がよい」と言えば日本国内でも評判がいいと分かります。したがって直前の要素「日本」と「海外」だけを取り立てていると考えられます。

 選択肢3
 「来る」「来ない」を累加の「も」で取り立てています。「来る」と同類の要素は「来ない」、「来ない」と同類の要素は「来る」しか考えられず、それ以外の要素はありません。なので「彼が来ても、彼女は気にも留めてないようだった」、「彼が来なくても、彼女は気にも留めてないようだった」と、それぞれの要素を消しても意味が同じです。直前の要素「来る」や「来ない」を取り立てています。

 選択肢4
 「頭」以外に冷やすもの、「薬」以外に飲むものは想定されませんので、直前の要素である「頭」や「薬」だけを取り立てているとは考えにくいです。
 問題文は「頭を冷やしもしたし、薬を飲みもしたがなかなか熱が引かない」と同義であり、「頭を冷やした」「薬を飲んだ」という事態全体(命題)を取り立てています。

 したがって答えは4です。

 

(15)「も」の「意外さ」の用法

 選択肢1
 「どこでもドアがあれば火星でも木星でも一瞬で行ける」のような「でも」は極限を表す用法で、その事態の意外性を表します。このとき「たとえ火星でも木星でも」のように「たとえ」と共起可能です。

 選択肢2
 正しいです。「5人も生まれたの!?」みたいに、「5」が意外に多い感じを表してます。

 選択肢3
 「あの人さえも知らないんだ」のように「さえ」は意外性を表すことができます。別に前後の特別な文脈に依存することなく用いることができますよね。だって左の例文、単独で使っても意外性を表せてますから。

 選択肢4
 「子どもまで駆り出される」からは「大人も駆り出されている」ことが自然と分かります。取り立てた要素である「子ども」と連続性が認められる「大人」を自然に思い浮べることができるからです。この文から「人形も駆り出されている」と考える人はいません。「子ども」と「人形」の間に連続性を認めにくいからです。よって「まず」は取り立てる要素と暗示される対象との間に連続性がなければ使えません。

 したがって答えは2です。

 





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