談話と会話分析についてまとめ!

 

 

談話と会話分析について

 談話とは、複数の文が連続して構成されるひとまとまりの内容を持った話のことです。大きく開始部、主要部、終結部に分けられます。電話の談話、誘いの談話など目的によってその構成が変わりますが、ここでは対人場面での一般的な談話構成を示します。

開始部 会話の最も初めに位置する部分で、対人関係を円滑にするためのとりとめのない話題が扱われる。挨拶、天気の話、健康の話、最近の話、質問、自己開示など。
主要部 開始部の後に位置し、談話全体の中で核となる話題が提示される部分。話題転換を表す「そういえば」や「ところで」をきっかけに主要部に移行することもあれば、開始部での話題から自然に移行することもある。
終結部 前終結 会話を終結させることを、相手が同意するかどうか確認する手続きが行われる部分。同意しない場合は話すべき残された話題を提示し、同意した場合は最終交換へ移行する。
最終交換
最終発話交換
(終結)
異なる話者によって対となる発話がなされる手続きが行われる部分。ここでは会話が終結する。

 

ターン

 ターン(turn)とは、二人以上が参加する会話において、話し手が発話を始めてからその話者が交替するまでの発話のひとまとまりのことです。会話では誰かが話し終わったら別の人が話し、また別の人が話し… という話者の交替が順番に起きます。この現象のことをターンテイキング(turn-taking)、あるいは話者交替と呼びます。

 ターンテイキングは文の終わりやイントネーションの変化、相槌、フィラー、ポーズ、ジェスチャー、アイコンタクト、声質、ディスコースマーカー、オーバーラップなどがきっかけとなって規則的に起きます。そしてその話者が交替する可能性がある時点のことをTRP(Transition Relevance Place)と言います。

 複数の話者の発話が重複するオーバーラップ(割り込み)は、ターンを取るために相手の発話がまだ終わっていないときに発話を割り込ませるもの、「お疲れ様でした」を言い終わる前に「お疲れ様でした」というなどのTRPが予測できたことで生じるもの、話し手に情報提供するものなどがあります。特に日本語におけるオーバーラップは話者同士の連帯感を強める役割があるとされています。

 

共同発話

 話者同士で1つのまとまりを持つ発話を作り上げるような話し方のことを共同発話と言います。これは日本語母語話者同士の会話でよく見られるもので、その性質から先取り発話と割り込み発話に分けられます。

先取り発話 話し手の言おうとしていることを聞き手が先取って話し、発話を完結させること。「A:あの人 → B:すごいイケメンだったね。」のように、BがAの言いたいことを予測して、2人で発話を作り上げること。
割り込み発話 話し手の発話の中に聞き手が割り込むこと。「A:あの人 → B:うん、我慢できない。 → A:本当に臭うね。」のような一連の発話のこと。

 

隣接ペア

 隣接ペアとは、挨拶に対する挨拶、問いに対する返答、誘いや申し出に対する返答などのお互いにペアとなっている2つの発話のことです。また、隣接ペアの中に別の新たな隣接ペアが入ることを挿入連鎖と言います。以下の会話では、隣接ペア①と④の中に、隣接ペア②と③が挿入されています。

 A:①暇? 遊びにいこう?
 B:②バイトないの?
 A:③うん、ないよ。
 B:④じゃあいこっか。

 隣接ペアにおいて、相手が産出する可能性がある複数の応答の中で、最も期待される応答のことを優先的応答、期待にそぐわない応答を非優先的応答と呼びます。例えば依頼に対する受諾が優先的応答で、拒否が非優先的応答です。

 ※隣接ペアよりも大きい発話の単位にムーブがあります。隣接ペアは2つの発話をペアとみなすのに対し、ムーブは「お願い→承諾→感謝」などの複数の発話による意味的なひとまとまりを指します。

 

制度的談話(institutional discourse)

 ある社会的制度の中で行われる特別な談話のことを制度的談話と言います。特に教室では教師による発話 (Initiation)、学習者の応答(Response)、評価/フィードバック(Evaluation/Feedback)の順でやり取りが行われるのが特徴で、教室談話、IRE/IRF型、あるいはIRF/IRE型と呼びます。教室談話は他の場面では現れにくく、裁判、医療、マスメディアなどではまたそれぞれ異なった談話形式を持ちます。

 教  師 : Aさんの趣味は何ですか?
 学習者A : 趣味はマラソンします。
 教  師 : 違います。「趣味はマラソンです」ですよ。

 

その他表現

スモールトーク 会話における本題に入る前に話す、天気について触れたり、相手の近況を伺ったりといった他愛もない会話のこと。挨拶的な役割を果たし、コミュニケーションを円滑にする役割がある。
婉曲表現 角が立つ直接的な表現や否定的な表現を避けた、穏やかな言い回しのこと。「死ぬ」を「息を引き取る」と言ったりするのがこれにあたる。
注釈表現
メタ言語表現
自分が述べる発話に対して解説者風の抽象的な説明をした表現のこと。「ちょっと説明長くなるかもしれないけど」や「聞いてないかもしれないけど」、「お取り込みのところ申し訳ありませんが」など。
言いさし表現 「お願いがあるんですが。」など文の最後の部分を省略している表現のこと。文としては不完全だが、話し言葉で多く用いられ、一つのまとまりとなる。
ヘッジ
垣根表現
発話内容の断定性を弱め、明言を避ける表現のこと。「たぶん」「かもしれない」「だと思うけど」「それはちょっと…」の「ちょっと」や「まあそうだけど…」の「けど」など。
フィラー 「あのう」「そのう」「えっと」などの言い淀み、言葉を探しているときに発せられる言葉のこと。
ポーズ 発話中に出現する、実際には発話されない一呼吸置かれた時間のこと。分かりやすく伝えたり、相手に考えさせる時間を与えたりする機能を持つ。
リペア
修復
既に述べた発言の不明瞭な部分や間違った部分などを訂正すること。
談話標識
ディスコースマーカー
談話において、その後どう続くかを知る手がかりとなる言葉のこと。例えば、「でも」は反論、「ところで」は話題転換、「すみません」は会話の切り出しの合図となる。

 





2020年9月23日日本語教育能力検定試験 解説, 用語集