平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題14解説

問1 中国からの帰国者

 まず「中国からの帰国者」とは、中国残留邦人のことを指しています。「中国残留邦人等への支援 |厚生労働省」にはこのように書かれています。

 昭和20(1945)年当時、中国の東北地方(旧満州地区)には、開拓団など多くの日本人が居住していましたが、同年8月9日のソ連軍の対日参戦により、戦闘に巻き込まれたり、避難中の飢餓疾病等により多くの方が犠牲となりました。このような中、肉親と離別して孤児となり中国の養父母に育てられたり、やむなく中国に残ることとなった方々を「中国残留邦人」といいます。

 ようやく日本に帰国されたときは、年齢を重ね中高年となっていたため、日本の教育も受けられず、日本語の習得には大変な困難があり、言葉が不自由なため就労も思うようにはいかず、安定した職も得られませんでした。
また、戦後の高度経済成長の時期には国外にいたため、他の日本人とは違いその恩恵を受けられませんでした。
このため、帰国後も懸命な努力をされましたが老後の準備が十分できず、また、言葉が不自由なため、地域にもとけ込めない方々もおられます。

 高齢者の中には非識字者もいます。そのため就労も満足にできません。
 したがって答えは1です。

 参考:中国・樺太等帰国者の歴史背景

 

問2 中国からの帰国者のための生活日本語

 「中国からの帰国者のための生活日本語」については中国からの帰国者のための生活日本語(昭和58年作成)でダウンロードできます。このページの全課ダウンロードの「テキスト」には、(2)ページに「はじめに」があります。そこにはこのように書かれています。

 このような要望にこたえるため、文化庁では中国からの帰国者の円滑な生活適応に役立つ実際的な日本語の教材を作成することとし、中国引揚者日本語教材編集委員会を設けて教材の編集に当たることとなりました。作業は、まず、中国からの帰国者の方々の言語生活の実態をつかむことから始まりました。そのため、(中略)アンケート調査などの諸調査を行いました。
 これらの調査結果を踏まえて、帰国者の方々が日常生活で最も頻繁にかかわりのある24場面を選定し、その各場面ごとに、生活していくために必要な日本語の要素を抽出していき、必要な生活情報も盛り込んだ教材を作成することとしました。

 選択肢2と同じ内容が書かれてます。
 したがって答えは2です。

 

問3 日常生活に不可欠な行動達成力の養成

 中国帰国者定着促進センター センター紹介 主な事業 入所者研修に研修内容として「日常生活に不可欠な行動達成力の養成」について書かれています。

日常生活に不可欠な行動達成力の養成
・・・交通、消費生活、健康、銀行、PC等情報通信、仕事、学校、防災等

 1 上記にはありませんが、日常生活に必要です。
 2 PC等情報通信
 3 仕事
 4 -

 選択肢4の内容はありません。
 したがって答えは4です。
 「テレビのニュースを見て重要な点を書き出す」ことは日常生活でやらないので、そういうところから解けばいいです。

 

問4 日本の社会や暮らし、帰国者事情に関する基本的な知識

 問3と同じく中国帰国者定着促進センター センター紹介 主な事業 入所者研修に書かれています。

日本の社会や暮らし、帰国者事情に関する基本的な知識の習得
・・・地理、戦前戦後史、政治・経済、教育、冠婚葬祭、年中行事、異文化適応等

 1 -
 2 政治・経済
 3 地理
 4 戦前戦後史

 選択肢1の内容はありません。それに芸術文化は生活に必要な基本的な知識とはいえません。
 したがって答えは1です。

 

問5 ダブル・リミテッド

 2つの言語を使用するバイリンガルはいろんな種類に分けられます。

習熟度 均衡バイリンガル
バランスバイリンガル
2つの言語を年齢相当の母語話者レベルで扱えるタイプ。
偏重バイリンガル
ドミナントバイリンガル
片方の言語のみ年齢相当の母語話者レベルで扱えるタイプ。
限定的バイリンガル
ダブル・リミテッド・バイリンガル
(セミリンガル)
どちらの言語も年齢相当のレベルに達していないタイプ。

 1 どの文化にも帰属意識が持てずに文化的アイデンティティを失っているデカルチュラルかなと思います。
 2 分からないです
 3 どの文化にも帰属意識が持てずに文化的アイデンティティを失っている状態、デカルチュラルの説明です。
 4 二言語とも年齢相応の能力がないのでダブル・リミテッドです。

 したがって答えは4です。

 参考:バイリンガリズムとバイリンガル教育についてまとめ!





2020年9月23日平成24年度, 日本語教育能力検定試験 解説