平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題4解説

問1 発語内行為

 発話行為理論(言語行為論)とは、オースティン (J.L.Austin)によって提唱された、発話と発話意図が伝わるメカニズムに関する理論のことです。オースティンは、発話は発話行為、発話内行為、発話媒介行為の3種類の言語行為を同時に遂行していると考えました。

発話行為
(発語行為)
意味のある言葉を口に出して言う行為そのもののこと。 「火事だ」と叫んだときの、発話そのもの。
発話内行為
(発語内行為)
その発話の機能によって相手に意図を伝えようとすること。 「火事だ」が持つ警告の機能によって「逃げろ」という意図を伝えようとする行為。
発話媒介行為
(発語媒介行為)
発話内行為を媒介として、聞き手や第三者、自分の行動や気持ちに何らかの影響を及ぼす使役的行為のこと。 「火事だ」で警告の発話内行為を遂行し、それによって人々が逃げる。

 発語行為である「火事だ!」と、それによって「逃げろ」という意図を伝えようとする発語内行為は同時に遂行されます。
 したがって答えは2です。

 

問2 発語内行為

 「今度、国の料理をごちそうします」は、約束を意味する発語内行為です。
 したがって答えは4です。

 

問3 それらに関する何らかの行為

 「それらに関する何らかの行為」とは、間接発話行為を指します。
 間接発話行為とは、相手に何らかの意図を伝える際に、直接的な言い方を避け、間接的な言い方によって意図を伝えようとする発話行為のことです。例えば、小銭を借りるために「小銭貸して」というのではなく、「小銭ある?」と言い方を変えるなどがそうです。あるかないかを確認しているのではなく、貸してほしいという意味になってます。

 「寒いですね」には、その場の気温を上げてほしいという意味が付属されます。
 したがって答えは4です。

 

問4 間接発話行為

 小銭を借りるつもりで「小銭ある?」と聞いたのに、友人は小銭の有無だけ聞いているものだと思い、「あるよ」とだけ答えて、結局貸してくれませんでした。友人には間接発話行為がうまく伝わらなかったようです。

 したがって答えは2です。

 

問5 機能シラバスに基づく指導

 機能シラバスとは、依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能に焦点を当てて構成されたシラバスです。
 ある状況で求められる行為に着目したものと考えられますので、一番近い1が答えです。

 ちなみに他の選択肢、多様な表現の産出、語用論的知識を身につけさせる、状況に対応できる能力などは実際のコミュニケーションの中で学んでいくのが効率的です。そのようなコミュニカティブな活動では概念・機能シラバスが用いられます。

 





2020年10月14日平成24年度, 日本語教育能力検定試験 解説