平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題5解説

問1 スキミング

 読解において、普段のスピードよりも速く読むことを速読と言います。速読は以下の2つに分けられます。

スキャニング 大量の文章から特定の情報を探し出すための読み方のこと。名簿から特定の名前を見つけたり、辞書で言葉の意味を調べるときなどに用いる読み方。スキャニングにはトップダウン処理がより必要とされる。
スキミング 文章の要点や全体の大意を理解するための読み方のこと。

 1 スキミングは大意を把握する読み方です。「概要を素早く理解する」という点がこれと合致します。
 2 スキャニングは特定の情報を探し出す読み方なので、違います。
 3 分析的な力を養うにはしっかり読み込まないといけません(精読)。素早く理解するための読み方とは反対です。
 4 クリティカル・シンキング(批判的思考)のことだと思います。目の前にある情報を鵜呑みにせず、本当に正しいのかと疑うことで考えを深め、最適解に辿り着こうとする思考法のことです。素早く理解するための読み方と異なります。

 したがって答えは1です。

 

問2 展開の予測

 選択肢3の「言いさし表現」とは、「確かにそうなんだけどね。」みたいに文の最後の部分を省略している表現のことです。これは後続するはずの言葉が省略されているので、展開を予測させるのに適切です。
 したがって答えは3です。

 

問3 トップダウン処理

 1 ボトムアップ処理
 単語や音、文法などの言語知識を用いて、細かい部分から徐々に全体の理解に繋げていく帰納的な言語処理方法のこと。

 2 トップダウン処理
 既に持っている背景知識や文脈、タイトル、挿絵、表情などから推測しながら理解を進めていく演繹的な言語処理方法のこと。

 3 精緻化リハーサル
 インプットされた情報を忘れないように短期記憶にとどめておいたり、長期記憶へ送ったりする方法をリハーサルと言います。リハーサルのうち長期記憶に転送するための方法を精緻化リハーサルと言います。長期記憶に貯蔵されている情報と関連付けたり、関連する場面や状況をイメージしたりする行為をすることです。

 4 プロトコル法/プロトコル分析/発話プロトコル法
 被験者の考えていること、思考の流れを客観的に測定する方法のこと。何かのタスクを遂行する過程で被験者が考えたこと、思ったことを常時全て発話させます。発話した内容をプロトコル・データと呼び、それを分析することによって思考の流れを解明しようとします。

 「推測」「予測」のような言葉が出てきたらトップダウン処理です!
 したがって答えは2です。

 

問4 学習ストラテジー

 内容 第1回 ①に書かれているように、まず見出し一覧を見て、そこから学習者は興味があるものを選びます。たぶん「サッカー」「W杯」や選手名、チーム名などの言葉が見出しに含まれていたため、学習者Xはワールドカップの記事を選んだと思います。

 見出しからキーワードを見つけていますので、答えは4です。
 こういう特定の情報を探し出す読み方はスキャニングです。

 

問5 総まとめの活動

 「活動のねらい」は(1)スキミング、(2)内容の予測です。
 第1回では見出しから記事の内容を予測してます。第2回でも予測するような活動がしたいんですが…

 1 調べて分析して発表。予測とかスキミングと関係ない活動です。
 2 母語の新聞と比較、発表。予測とかスキミングと関係ない活動です。
 3 記事を読んで見出しを推測する。そして実際の見出しと比較。活動のねらいに沿っています!
 4 慣用表現やことわざ取り出すのは、予測とかスキミングと関係ない活動です。

 したがって答えは3です。





2020年9月19日平成23年度, 日本語教育能力検定試験 解説