平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題9解説
問1 ステレオタイプ
ステレオタイプとは、多くの人に浸透している、特定の集団に対する先入観や思い込み、固定観念のことです。「眼鏡をかけてる人は勉強できる」や血液型占いなどがこれにあたります。ここに否定的な評価や感情が加わることで「◯◯人は✕✕だ」のような偏見や差別が生じます。
1 一度ステレオタイプが定着すると、情報が与えられても修正・変化されにくくなります。
2 逆です。自分が所属する集団以外の集団に対するステレオタイプは単純になりがちです。
3 ステレオタイプには肯定的なものも含まれます。
4 好きな人に悟られないように意識しないようにすると、かえって好きな人を意識してしまうことになるように、気にしないようにすることは逆に気になるものです。ステレオタイプでも同じような反応があります。
したがって答えは4です。
問2 偏見
1 正しいです。
2 偏見は、認知的な要素よりも感情的な要素の方が強いです。
3 正しいです。
4 正しいです。
したがって答えは2です。
問3 偏見と差別
行為を伴うものは「差別」であり、その手前に思考の段階の「偏見」があります。
したがって答えは2です。
問4 ステレオタイプの形成・維持
1 逆です。一度ステレオタイプが形成されたら、それとは一致しない情報は記憶されにくくなります。
2 逆です。少数派の人は目立つ行動をすると、その行動のもととなる原因が集団全体の特徴のように思われやすいです。
3 「中国人は卓球がうまい」と思っている人が中国人と話をしている場面を想定します。お互いの自己紹介などでその中国人が「私、卓球やったことあります」と言うと、「やっぱりそうなのか」と思うでしょう。自分のステレオタイプと目の前の情報が一致し、ステレオタイプは維持されやすくなります。「やったことがある」と言うだけではうまいかどうか分かりません。ただ「卓球」という言葉が出てきただけでステレオタイプが活性化していまいます。
4 逆です。勢力者は非勢力者に注意を向けやすいので、非勢力者のステレオタイプを形成しやすくなります。
したがって答えは3です。