平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題6解説

1番

 「どこが間違っていますか」が「どこは間違っていますか」になる誤りです。
 「が」は格助詞で、「は」は係助詞です。
 したがって答えはcです。

 

2番

 「しか」の後ろには否定形が呼応するのですが、「しか持ってる」と呼応していません。
 したがって答えはdです。

 

3番

 転音とは、「あめ」と「かさ」が合わさり「あまがさ」となるような現象のことです。
 音位転換とは、「ふんいき」が「ふいんき」になるように、音素の順番が入れ替わってしまう現象のことです。
 連声とは、「いん」と「えん」が合わさり「いんねん」となるような現象のことです。
 連濁とは、「ごみ」と「はこ」があわさり「ごみばこ」となるような現象のことです。

 「あまがさ」が「あめがさ」になる誤用です。
 転音が起こっていません。
 したがって答えはaです。

 

4番

 「建つ」-「建てる」のように自動詞と他動詞が対応しているものを有対動詞と言います。このうち、自動詞の方を有対自動詞、他動詞の方を有対他動詞と呼びます。

  対応する他動詞や自動詞がない動詞は無対動詞と言います。そのうちうち、死ぬ、泳ぐ、走るなどの自動詞しか存在しないものを無対自動詞、感じる、話す、忘れるなどの他動詞しか存在しないものを無対他動詞と呼びます。

 「冷やしておきましたよ」が「冷えておきましたよ」になる誤用です。

 「冷やす」ー「冷える」は有対動詞です。
 うち、「冷やす」は有対他動詞、「冷える」は有対自動詞です。
 有対他動詞で「冷やして」というべきですが、これが有対自動詞「冷えて」になってしまう誤用です。有対他動詞の誤りです。

 したがって答えはdです。

 

5番

 「知っています」が「知ります」になる誤用です。アスペクトに問題があります。
 アスペクト(相)とは、ある動作や出来事がどの局面にあるかを表す文法形式です。

 したがって答えはaです。

 参考:ヴォイス・アスペクト・テンス・モダリティについて - アスペクト/相 (aspect)

 

6番

 「によると」が「によって」になる誤りです。
 複合助詞の誤りです。
 したがって答えはcです。

 

7番

 「いいですか」が「いただけませんか」になる誤用だと思いましたが、これだと選択肢に答えがありません。
 ということで、「早退させていただけませんか」が「早退していただけませんか」になる誤用でした。
 使役形を使ってません。
 したがって答えはdです。

 

8番

 「分かるように」が「分かれるように」になる誤用です。

 「分かる」はそもそも辞書形で可能の意味を持っているので、「分かれる」のような可能形は存在しません。しかし無理やり可能形「分かれる」を作っているみたい。この学習者は「分かる」自体に可能の意味があることを知らないのでしょう。

 ちなみに… 「分かる」には可能形がありませんが、もし可能形があったとすれば「分かれる」ですね。これに「れ」を加えると「分かれれる」となり、これがれ足す言葉です。この人は「分かれれる」とは言ってませんのでれ足す言葉ではありません。

 したがって答えはaです。

 




2022年8月15日平成30年度, 日本語教育能力検定試験