平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

問1 言語景観

 1 言語的収束(コンバージェンス)
 アコモデーション理論のうち、自分の話し方を相手の話し方にできるだけ近付けていくことです。ティーチャートーク、フォリナートーク、ベビートークなどなど。

 2 ダイグロシア
 ある社会において高変種と低変種の二つの言語変種が存在し、それぞれが場面や状況によって使い分けられている状態のことです。公的な場面で使用される言語形式は高変種(H変種)、私的な場面で使用される言語形式は低変種(L変種)と呼びます。

 3 言語景観
 街頭、公共施設、店舗などに見られる言語表記のこと。

 4 文字的場面
 こんな言葉ある?

 ここでは道路表記、広告看板などの総体ですから、一番近いのは言語景観かなあ。
 したがって答えは3です。

 

問2 多言語表示

 選択肢1
 多言語表示はその地域に住んでいる外国人の国籍によって設置されますので、使用者の存在をアピールする機能はあります。

 選択肢2
 個人が設置する看板などの表示は自由です。恣意的に決められます。

 選択肢3
 例えば「げんき書店」を「Genki Shoten」と表示したりすると、ローマ字が持つ近代的、スマート、カッコいいみたいなイメージを借りることになり、日本人に向けたアピールになることもあります。しかし「Genki Shoten」では外国人に意味が伝わりません。これは多言語表示とは言わないです。多言語表示するのであれば「Genki Book Store」とすべきです。この選択肢は間違い。

 選択肢4

 「関係者以外立ち入り禁止」と「WARNING(警告)」は意味が違います。こういうことかな?
 参考:http://kanbanshop.co.jp/products/detail.php?product_id=739
 
 
 したがって答えは3です。
 ご協力ありがとうございました!



問3 音と意味ともに十分な情報を提供する案内板の多言語表示

 下線部Bより、「音」と「意味」が同時に提供されてるものはどれですかと聞いてます。

 選択肢1
 「大阪神社」の音「Osaka-jinja」があります。
 「神社」を表す「Shrine」もしっかり表記されているので、多言語表示として意味があります。

 選択肢2
 意味は「Tokyo Brdg.」で表せてますが、「Hashi」がないので音が表せてません。

 選択肢3
 「駅」を表す「Station」がありません。「Eki」だけでは外国人に伝えられないので、多言語表示として不適切です。

 選択肢4
 意味は表示されてますが、読み「Daigaku-Kaikan」がありません。

 したがって答えは1です。

 

問4 観光目的で日本を訪れる外国人

韓国(714万人)と中国(735万6千人)は全市場で初めて700万人台に達した…
 - 訪日外客数(2017 年 12 月および年間推計値)より

 1番が中国語圏、2番が韓国語圏です。
 したがって答えは2です。

 

問5 ピクトグラム

 1 ホームサイン
 手話を身につけてない、孤立している聴覚障害者が、ごく身近な人とコミュニケーションする時に使用する身振り手振りのこと。

 2 デジタルサイネージ(電子看板)
 表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字を表示する情報・広告媒体のこと。空港や複合商業施設などに、タッチして操作することができる看板や案内板などが設置されてますが、それです。

 3 ハイパーテキスト
 ハイパーテキストとは、コンピュータを利用した文書作成・閲覧システムの一つで、文書内の任意の位置や要素に、他の文書への参照(所在情報や識別情報)を埋め込み、複数の文書を相互に結びつけたもの。

 4 ピクトグラム
 明度差のある2色を用いて表示されるサインのこと。何らかの情報や注意を単純な絵や図にして表現する技法が用いられており、非常口などのサインが代表的。

 したがって答えは4です。

 




2023年8月26日平成30年度, 日本語教育能力検定試験