平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題1解説

問1 アニマシーが関係する誤用例

 文章中にも定義が書かれています。
 アニマシー(有生性)とは、そのものが生きていると感じられる度合いのことです。日本語ではアニマシーが高い存在は「いる/いない」、低い存在には「ある/ない」で表されます。

 1 「私のところに」と言わないといけないのに… これはアニマシー関係ないです。
 2 「開いた」と「開けた」、自他の混同です。
 3 「鳴く」は生き物に使いますが、電話に使ってます。アニマシーが関係してる誤用です。
 4 「で亡くした」というべきです。どうして「死ぬ」が使いたいなら、「子供に死なれた」とニ格にすべきです。

 したがって答えは3です。

 

問2 日本語と中国語の特徴

 言語をその語形変化から分類すると以下の4つに分けられます。

膠着語 実質的な意味を担う語幹に接辞を接続することによって語形変化する言語のこと。「食べる」の語幹「tabe」に屈折接辞「ru」がつくような変化を持つ。 トルコ語、ウイグル語、ウズベク語、モンゴル語、日本語、朝鮮語(韓国語)、フィンランド語、インドネシア語、エスペラント語…
屈折語 文法的機能を表す形態素が、語の内部に分割できない形で埋め込まれる言語のこと。つまり、語そのものが変化する言語のこと。 ラテン語、ギリシア語、ロシア語…
孤立語 全ての語が語形変化しない言語のこと。 中国語、ベトナム語、ラオス語、タイ語、クメール語…
抱合語 特に動詞に他の意味的または文法的な要素が接続され、語だけで文に相当する意味を表現することができる言語のこと。 アイヌ語…

 日本語は膠着語、中国語は活用がない孤立語です。 日本語、英語、中国語、韓国語くらいは覚えておくと試験に役立ちます。
 したがって答えは2です。

 

問3 人間を表す普通名詞

 まず下線部Cが何を言ってるか…。

 人間を表す代名詞は単数と複数が必ず区別される。
 人間を表す代名詞とは、私、君、彼、彼女、あの人などを指してます。これらを複数形にする場合は「たち」や「ら」をつけます。複数の対象を指して「あなた」ということは許されず、必ず「あなたたち」「彼ら」「彼女たち」と複数形になります。その逆もしかりです。このように単数と複数は必ず区別されます。

 人間を表す普通名詞は、単数と複数の区別は原則として義務的ではない。
 人間を表す普通名詞とは、学生、親などのを指してます。これらを複数形にする場合は↑と同様に「たち」や「ら」をつけます。しかし、「私の学生にはプログラミングに詳しい人がいる」というとき、この「学生」が一人なのか複数なのかはっきりしません。一人を指しても複数を指しても「学生」と言えます。つまり人間を表す普通名詞は単数と複数を区別する必要がないということを言ってます。

 選択肢1
 「親」は人間を表す普通名詞ですから、単数と複数の区別は義務的ではありません。「私の親が…」と言っても、それが母親を指しているのか、父親を指しているのか、あるいは両方を指しているのか分かりません。指されているのは一人とは限りません。

 選択肢2
 「彼女」は人間を表す代名詞なので、単数と複数は区別されます。指されているのは必ず一人です。

 選択肢3
 「彼ら」は人間を表す代名詞なので、単数と複数は区別されます。「彼ら」は男性の集団を指す場合にも、女性の集団を指す場合にも、男性と女性が混じった集団を指す場合にも使えます。それに、男性だけでなく女性も含まれているかどうかは単数と複数の問題とは関係ないです。

 選択肢4
 「学生」は人間を表す普通名詞ですから、単数と複数の区別は義務的ではありません。上述したように、「私の学生には…」というとき、指されているのは単数の可能性もあるし、複数の可能性もあります。

 したがって答えは2です。

 

問4 英語におけるアニマシーの原則の例外

 アニマシーが高いものほど数を区別するという傾向について、英語は例外となるそうです。日本語教育能力検定試験なのに英語からがっつり出題するのはやめてほしいんですけど…。

 選択肢1
 人間を表す名詞「student」には複数形「students」があり、動物を表す名詞「dog」には複数形「dogs」があります。

 選択肢1
 人間を表す一人称「I」には複数形「we」がありますが、二人称「you」の複数形は同じく「you」です。また、三人称「he」や「she」の複数形は「they」があります。

 選択肢1
 「flowers」というように、植物にも複数形があります。

 選択肢1
 選択肢2で述べたように、二人称「you」の複数形は同じく「you」です。二人称の代名詞には複数形がありませんので、単数形と複数形を区別していません。

 したがって答えは4です。

 





2020年9月20日平成24年度, 日本語教育能力検定試験 解説