平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説
問1 変異
同じことを言うには複数の言い方があることを変異(バリエーション)と言います。構文を変えたり、別の単語を使ったり、イントネーションを変えたりとか、そういう風にして複数の言い方ができます。というわけで答えは1です。
ちなみに他の選択肢は…
2 新方言
若者が方言から取り入れた標準的ではない言い方のことです。「~じゃんか」「~分からんくなった」など。
3 外的変化
不明
4 二言語使用
バイリンガルのことです。
しがたって答えは1です。
問2 省略語
造語法はいろいろあるので、一応紹介します。
合成法 | 複数の形態素を結合する方法。ゴミ箱、大教室、スマホケース |
---|---|
転成 | 既存の語の品詞を変えて新しい語を作る方法。暮らし、物語、話 |
省略/縮約 | 既存の語を省略・縮約して新しい語を作る方法。就活、日ハム、ハガレン |
借用 | 他言語から取り入れて新しい語とする方法。外来語。テレビ、メモ、マスク |
混交/混淆 | 複数の既存の語の一部を取って1語とする方法。「やぶる」と「さく」から「やぶく」を作るようなこと。 |
逆成 | 既存の語を派生語と見なし、その語末を派生接辞を捉え、それを切り離して新しい語を作り出す方法。「もくろみ」から「もくろむ」を作るのが逆成の例だそうですが、日本語ではほとんど例がありません。 |
文字・表記 | 百から一を引くと99になることから99歳を白寿、八十八を組み合わせると米になることから88歳を米寿とするなど、既存の漢字を分解して言葉を作る方法。また、ローマ字表記の頭文字を取ってTシャツやYシャツなど新しい言葉を作る方法。 |
「ゲームセンター」を「ゲーセン」というような造語法は省略ですね。
したがって答えは3です。サービス問題。
問3 平板化
まず日本語のアクセントについて説明します。
日本語の標準語のアクセントは、核の位置から平板型、頭高型、中高型、尾高型の4つに分けられます。
核の有無 | 無し | 有り | ||
---|---|---|---|---|
種類 | 平板式 | 起伏式 | ||
平板型 | 頭高型 | 中高型 | 尾高型 | |
核の位置 | 無し | 最初の拍 | 途中の拍 | 最後の拍 |
例 | 太もも | 眉毛 | おでこ | あたま |
+(助詞) | ふとももが | まゆげが | おでこが | あたまが |
このうち、「ドラマ」「美人」「令和」などの元々平板型ではない語が、若者を中心に平板型のアクセントで発音される現象をアクセントの平板化と言います。
問題文中の「カレシ」や「バイク」が平板型に変わっていますね!
したがって答えは4です。
問4 老年層の言葉の特徴
1 若者にも使う人がいそう
2 老年層の言葉
3 老年層の言葉
4 老年層の言葉
したがって答えは1です。