平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3A解説

2021年4月29日平成24年度, 日本語教育能力検定試験 解説

(1)同音異義で活用が異なるもの

 「辞書形では同音異義でも、活用の種類が異なれば過去形などの形が異なる」ものとは、例えば「する」が挙げられます。五段動詞の「刷る(する)」の過去形は「刷らない」ですが、サ変動詞の「する」は「しない」です。同音でもグループが異なるとはこういうことです。

 1 「切る」は五段動詞、「着る」は一段動詞
 2 「植える」は一段動詞、「餓える」は一段動詞
 3 「避ける」は一段動詞、「裂ける」は一段動詞
 4 「要る」は五段動詞、「炒る」は五段動詞

 選択肢1は同音異義でグループが異なってます。
 したがって答えは1です。

 

(2)異形態

 選択肢1
 同じ音素の中に属している個々の異なる音のことです。例えば、日本語は[s]と[θ]を区別しないので、これらは音素/s/に含まれます。それぞれの要素が異音です。

 選択肢2
 長音、促音、撥音の総称です。

 選択肢3
 同じ意味や機能を持ちながら、環境や条件によって異なる形を取る形態素のことです。「雨」は雨風なら/ame/、雨雲なら/ama/となります。意味は同じなのに読み方が変わってる、これが異形態です。
 問題文の/-ta/は買った、見た、寝たとかの「た」で、/-da/は死んだ、噛んだ、飛んだなどの「だ」を指してます。同じ過去を表すのに形が変わってる異形態です。

 選択肢4
 子音が最後にくる音節のことです。例えば、英語のshock [ʃɑ́k]は、最後が子音「k」で終わるため閉音節です。
 逆に日本語は子音+母音、あるいは1つの母音で1拍、1音節を形成するので、母音が最後にくる音節がほとんど。

 ここでは/-ta/と/-da/の話ですから、答えは異形態ですね!
 したがって答えは3です。

 

(3)動詞語幹末尾音と過去を表す形式

 文章中に、日本語の動詞の活用は3つとありますがそれは大分類。もっと細かく分けると次のような感じになります。

分類 辞書形 過去形 動詞語幹 動詞語幹末尾音
五段活用 ガ行五段活用 脱ぐ 脱いだ nug g 有声子音
マ行五段活用 飲む 飲んだ nom m 有声子音
バ行五段活用 遊ぶ 遊んだ asob b 有声子音
ナ行五段活用 死ぬ 死んだ sin n 有声子音
ラ行五段活用 取る 取った tor r 有声子音
ワ行五段活用 会う 会った aw w 有声子音
カ行五段活用 書く 書いた kak k 無声子音
タ行五段活用 待つ 待った mat t 無声子音
サ行五段活用 話す 話した hanas s 無声子音
不規則活用 サ行変格活用 する した s s 無声子音
カ行変格活用 来る 来た k k 無声子音
一段活用 上一段活用 着る 着た ki i 母音
下一段活用 寝る 寝た ne e 母音

 この問題は過去形の/-ta/と/-da/が現れる条件について考える問題です。

 まず、表の青い部分を見てください。
 脱ぐ、飲む、遊ぶ、死ぬなどのように、動詞語幹末尾音が/g/,/m/,/b/,/n/で終わる動詞は過去形で/-da/が現れています。これらは全て有声子音です。

 一方、表の赤い部分を見てください。
 取る、会うなどのように語幹末尾音が有声子音/r/,/w/で終わるもの、書く、待つ、話す、する、来るのように無声子音/k/,/t/,/s/で終わるもの、そして一段動詞のように母音/i/,/e/で終わるものは全て過去形で/-ta/になります。過去形で/-ta/が現れる条件はこのように様々です。

語幹の末尾音が(イ)の場合は/-ta/が現れる。

 有声子音の場合は/-ta/も/-da/も現れますが、無声子音と母音の場合は/-ta/しか現れません。
 したがって(イ)に入るものは「無声子音と母音」ということになります。

語幹の末尾音が(ウ)の場合は/-da/が現れるが、例外的に/-ta/が現れるものもある。

 /-da/が現れるのは有声子音のうち、/g/,/m/,/b/,/n/だけです。
 例外的に/-ta/が現れるのは有声子音のうち、/r/と/w/ですね。

 したがって答えは2です。

 

(4)促音便

 (3)より「語幹の末尾音が有声子音の場合は/-da/が現れるが、例外的に/-ta/が現れるものもある」という結果が得られてます。
 その例外とは、/r/と/w/でした。

 語幹末尾音が/r/になるものの例として「取る」、/w/になるものの例として「会う」があります。
 これらをテ形にしてみると、「取る → 取りて → 取て」「会う → 会いて → 会て」と促音便が生じています。

 したがって答えは1です。

 





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