平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題14解説

問1 方言のアクセント・音声

 この問題は方言から出題してるので難しい。

 選択肢1
 九州の方に聞いてもちょっとよく分からないと言ってました。
 ちなみに津軽弁は「頭(あだま)」「やかましい(やがましい)」「行くかもしれない(いぐがもわがんね)」みたいに、語中・語末のカ行、タ行は高確率で濁音化します。なのでこの記述は東北方言のものを指しているのではないかと思います。

 選択肢2
 標準語だと「~です」の「す」は無声化が起きて子音だけ残って発音されることが多いんですが、近畿地方だと「~です」がよりはっきり発音されるようです。イントネーションは下がらずに「です⤴︎」となったり。この問題はそういうことを言ってると思われます。ちなみに標準語の母音「う」は非円唇[sɯ]ですが、この近畿地方の文末の「う」は円唇[su]だそうです。
 コメントでのご協力ありがとうございます!

 選択肢3
 東京方言(標準語)はアクセント核の有無や位置で単語を区別します。これは当然分かります。

 選択肢4
 ちょっとよく分からないです… 少なくとも津軽弁には2つ以上あります。

 というわけで答えは2です!

 

問2 方言形の語彙数

 津軽弁で考察します。

 1 「肩(かた)」は「かだ」などと濁音になるくらいで、特有の語彙はありません。
 2 「しんけたがれ(神経質)」や「からきじ(わがまま)」などがあります。
 3 「あやこ(お手玉)」や「びだ(めんこ)」などがあります。
 4 「もっけ(蛙)」や「ちゃぺ(猫)」など生物を表す語彙は多いです。

 したがって答えは1です。

 

問3 周圏分布

 この問題は参考文献が見つからないので後回し!
 答えは1です。

 

問4 混交

 方言と方言、方言と共通語が接触することを言語接触と言います。
 言語接触によって起きる現象は以下の5つに分類されます。

取り替え
標準語化
既存の単語があるところに新たな同義の単語が伝播し、その新たな単語が既存の単語を追いやり取って代わること。
混交 既存の単語と新たに伝播した単語が合わさり、双方の一部分を残しつつ新たな単語が生まれること。
導入 混乱を避けるため、英語などのリンガフランカから全く新しい単語を導入すること。
棲み分け 既存の単語と新たに伝播した単語を多少異なるものとして役割を分担させ、共存させること。
維持 新しく伝播した語を受け入れず、元々の語を維持すること。

 各選択肢に例が挙げられていますが、一旦例は見ないで、後ろの文に注目します。

 1 共通語にはない形式を共通語として使う。 ⇒ こういうの何ていうか分かりません。
 2 共通語の形式をとるが、共通語とは異なる意味で使われる。 ⇒ これも名前があるんですか?
 3 二つの形式が、意味を少し異にして両者とも使われる。 ⇒ 上記の表の「棲み分け」です。
 4 二つの形式が組み合わされ、新たな形式が生じる。 ⇒ 上記の表の「混交」です。

 選択肢4が混交の説明をしています。
 ちなみに標準語の「来ない」が関西方言の「けーへん」「きーへん」「きーひん」と混ざりあって、「こーへん」が生まれたとされています。このような標準語と方言の混交形式として生まれた中間的な言い方のことをネオ方言と呼びます。

 したがって答えは4です。

 

問5 方言教材の開発で考慮しなくてもよいもの

 津軽弁で考察します。

 選択肢1
 一言に津軽弁といっても、弘前、五所川原、青森など各地で少しずつ違いますので、もし津軽弁の教科書を作るんであれば、規準の地域を決めないといけません。

 選択肢2
 上述の通り、弘前、五所川原、青森などで若干方言に違いがありますが、もし教科書を作るならできるだけ各地共通した表現で作ったほうが良さそう。弘前メインで使われる表現だけ書くのはよくないと思います。

 選択肢3
 理解するために教えるのか、使うために教えるのか。それによって指導も変わります。
 生活のために理解するだけでいいというならそこまで詳しく教えなくて済みますし、馴染みたくて使いたいというならそれなりの練習が必要になります。

 選択肢4
 その学習者が方言を使うような職場で仕事をしてるなら、仕事の場面でよく使う方言など中心に教えることになります。
 その人のニーズによって教材、指導内容を変えるのは当然です。

 答えは2です。

 





2020年9月28日平成27年度, 日本語教育能力検定試験 解説