平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題9解説

問1 異文化トレーニング

 異文化にうまく適応できるようにその文化のことを学んだり、実際にゲームや訓練を通じて体験することが異文化トレーニングです。

 1 正しいです。ケチつけるところがないです。
 2 体験型のトレーニングもありますし、しっかり座学でその文化を学んだりもします。
 3 これから渡航する人には渡航前に行いますし、渡航後にうまく適応できない人にも行います。
 4 異文化経験がある人でも、適応できていない場合はトレーニングの対象となります。

 したがって答えは1です。

 

問2 自文化中心主義

 文化の優劣に対する考え方は2つあります。

文化相対主義
文化相対論
特定の文化は他の文化の尺度では測れないとし、文化には多様性があることを認め、それぞれの文化の間に優劣はないとする立場のこと。ボアズ (Boas)によって提唱された考え方。
自文化中心主義 自文化が最も優れているという考え方で、自文化を絶対的基準として他文化を推し量ろうとする立場のこと。

 1 自文化中心主義
 2 「自文化を特別と考える」のは自文化中心主義ですよね? でも「優劣をつけない」のは文化相対主義です。前と後ろがごちゃごちゃ。
 3 文化相対主義
 4 サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)です。人間の考え方や物事に対する見方はその人の母語の影響を受けているとするものです。

 したがって答えは1です。

 

問3 異文化シミュレーションゲーム

 異文化トレーニングでは、実際に異文化を体験するための異文化シミュレーションゲームが行われます。いくつか種類があります。

エコトノス 異なる3つのグループにそれぞれの習慣や価値観を与えた後、グループ同士で話し合って異文化を体験するゲーム。
アルバトロス 架空の国アルバトロスを舞台にしたロールプレイ。アルバトロスでは女尊男卑の考え方が根付いており、そのような文化体験を行った後に参加者でディスカッションして気付いたことを話し合う。
バーンガ トランプを使った異文化トレーニング。異なるルールのトランプゲームがあるテーブルを回ってお互い話さずに遊ぶ。これを通して異文化を体験する。
バファバファ 異なる2つのグループにそれぞれの習慣や価値観を与えた後、お互いのグループを訪れることで異文化を体験するゲーム。

 選択肢4のバファバファは説明が違います。「架空の文化」はアルバトロスですし、バファバファ人なんていうのも存在しません。
 したがって答えは4です。

 

問4 ファシリテーター

 ファシリテーター(促進者)とは、目的を達成させるために参加者の手助けする役目を持った人のことです。異文化トレーニングで全体の進行をする人もファシリテーターですし、学習者主体の授業でも教師はファシリテーターとして振る舞います。何か直接教えるということはせずに参加者をサポートするような働きをします。

 1 結論を導くのは参加者に任せますが、意見の対立解消のために適切な質問をしたりするサポートは行います。
 2 「促す」というのがファシリテーターのやるべきことです。直接教えるようなことはせずにサポートします。
 3 参加者同士の関係性や感情などはケアします。
 4 話も聞きますし、その場を活性化させるために必要な質問や復唱は行ってサポートします。

 したがって答えは2です。

 

問5 エポケー

 1 エンパシー 人の気持ちを思いやること。
 2 ラポール 二人の間にある相互信頼の関係のこと。
 3 エポケー 判断を留保すること
 4 エンブレム ジェスチャーのうち、言葉の代わりになる動作のこと。試合中のハンドサインなど。

 異文化に接触して何らかの問題が発生したとき、すぐに解決できそうになければいったん判断を保留したりするのも有効です。
 エポケーは異文化関係の問題でよく出てくる言葉なので絶対覚えましょう!
 答えは3です。

 





2020年9月21日平成28年度, 日本語教育能力検定試験 解説