平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

問1 アウトプット仮説

 アウトプット仮説
 言語習得には、相手が理解可能なアウトプットをすることが重要だとする仮説です。メリル・スウェイン(M.Swain)によって提唱されました。相手が理解可能なアウトプットをすることで以下の3つの効用が得られます。

気づきの機能 言いたいことがあるのに言えないとき、「私はこれが言えないんだ」と気づくことができます。そのギャップは新しい知識を取り入れようとするきっかけになり、言語習得が促進されます。
仮説検証の機能 アウトプットに対する相手の反応を見ることによって、どのような言い方が正しいのか、あるいは通じるのかが分かり、自分の持っている中間言語の正しさを仮説検証する機会が得られます。
メタ言語的機能 相手に何か伝えようとしたけど通じなかったとき、相手に通じるアウトプットは何かを探します。そうして繰り返しアウトプットを修正することが自分の言語使用を内省することに繋がり、メタ言語的意識を高め、習得を促します。

 選択肢3の「相手が理解できるように話すことを通して習得が促進される」の部分がまさにアウトプット仮説の考え方です。
 したがって答えは3です。

 参考:第二言語習得理論についてまとめ!

 

問2 IRE/IRF型

 IRE/IRF型とは、教室でよく見られる談話形式のことです。教室では教師による発話(Initiation)→学習者の応答(Response)→評価/フィードバック(Evaluation/Feedback)の順でやり取りが行われます。これは他の場面ではあまり見られない流れなので、教室談話とも呼ばれたりもします。

 教  師 : Aさんの趣味は何ですか?
 学習者A : 趣味はマラソンします。
 教  師 : 違います。「趣味はマラソンです」ですよ。

 
 1 教師による発話 ⇒ 学習者の応答 ⇒ 学習者による確認
 2 教師による発話 ⇒ 学習者の応答 ⇒ 教師による発話
 3 教師による発話 ⇒ 学習者の応答 ⇒ 学習者による確認
 4 教師による発話 ⇒ 学習者の応答 ⇒ フィードバック

 選択肢1~3はIRE/IRF型ではありません。でもこういう談話も教室では起こり得ます。
 IRE/IRF型はあくまで教室で最も起きやすい談話形式ですよーと言っているだけで、実際は他の形式も現れます。

 選択肢4は完全にIRE/IRF型です!
 したがって答えは4です。

 

問3 グループワーク

 グループワークとは、ディスカッションやディベートなどのグループで行う活動全般のことです。

 1 学習者は母語話者ではないので、非文法的な砕けた表現はあまり使われません。
 2 正しいです。グループワークはお互いの意思疎通が必要な活動なので、その中で意味交渉が多く生じます。
 3 正しいです。先生から当てられて答えないと…みたいなストレスはなく、周囲の友達と一緒に取り組めたりするので、緊張や不安は軽減できます。
 4 正しいです。グループ活動なのでグループで話し合う場面は自然に増えます。

 したがって答えは1です。

 

問4 シミュレーション

 シミュレーションとは、ある架空の状況下で発生している何らかの問題を、学習者たちが調査や意見交換などをして解決していく現実的な活動のことです。

 1 こういうのがまさにシミュレーションです。
 2 フィールドトリップです。実際に現地に行ってする活動です。
 3 これはなんだろ。現実的というか実際応募までしてるんで、かなりコミュニカティブな活動ではあります。
 4 こういうのに名前ついてないはず。

 したがって答えは1です。
 
 

問5 ジャーナル・アプローチ

 ジャーナル・アプローチ (journal approach)とは、学習者の学習や異文化について思っていることや問題点を自由に書くことで、本人にその原因などを気付かせる異文化理解、カウンセリング手法です。学習者が書いたものをジャーナルと呼び、それらを教師や援助者と共有することでフィードバックを与え、お互いの相互理解を深めることに用います。

 1 学んだ表現を書かせるんじゃなくて、思っていることを書かせるのがジャーナルです。
 2 内容は良いこといってますけどここでは関係なし
 3 ただの異文化に関する指導です。
 4 これがジャーナル・アプローチ

 したがって答えは4です。





2020年11月22日平成29年度, 日本語教育能力検定試験 解説