平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題9解説

問1 外界からの刺激

 選択肢1
 感覚器官から受け取った情報は、まず感覚記憶に一時的に保持されます。視覚情報は1秒、聴覚情報は2秒程度保持されると言われています。
 この選択肢は逆!

 選択肢2
 「聞きたい人の話が聞き取れる」だったらカクテルパーティー効果の記述なんですけどねー

 選択肢3
 経験則から言うと、最初のほうは覚えていて、後ろのほうに行くにつれて覚えてないです。

 選択肢4
 時間が短ければ見るよりも聞いた方が印象に残りやすい(選択肢1)ですが、十分に時間があれば見る方が記憶されやすいです。

 したがって答えは4です。

 

問2 第二言語の学習者のインプットの処理の仕方

 選択肢1
 ここでのインプットとは、見たり聞いたりした第二言語の内容が自分の中に入ってくることです。その入ってくる過程では、この単語の意味はこれだから… みたいに母語を使います。母語を使わないで第二言語処理ができるようになるのは、かなりかなり熟達した学習者です。

 選択肢2
 そんなわけない。会話の中で、文章の中で常に文脈から内容を推測したりしています。自動的に文頭の語が主語となるなんてことはありえません。

 選択肢3
 海、川、山、食べる、飲む、美しいなどの実質的な意味を持ってる名詞・形容詞・動詞などは内容語と言います。「それ」「しかし」「~です」「~かもしれない」みたいな代名詞・前置詞・接続詞・助動詞などは機能語です。
 文法的な意味を持つ機能語よりも、語彙としての意味を持つ内容語の方が処理されやすいでしょう。「彼女はもしかしたら海に行ったかもしれない」では、「彼女」「海」「行った」などの内容語が聞き取れれば大体の意味は分かります。「は」や「もしかしたら」や「かもしれない」などの機能語は最悪聞き取れなくてもいいです。

 選択肢4
 どちらかというと文の最初や最後が印象に残りやすいと思います。経験的に。
 聞いているうちに理解できなくなって、文中は聞き取れなくなり印象に残らない… みたいなことありますよね。聴解問題などで。

 したがって答えは3です。

 

問3 長期記憶

 長期記憶は長期的かつ半永久的な情報が貯蔵されている、容量に限界のない記憶領域のことです。

 選択肢1
 引き出しが奥にあって取り出せなくなるようなイメージです。長期記憶は永続的に貯蔵された記憶ですが、思い出しにくくなることはあります。

 選択肢2
 物事を記憶するには「思い出す(アウトプットする)」過程が重要です。時間を置いて練習するほうが効果的です。エビングハウスの忘却曲線と関係しています。
 短時間の間に集中的に何度も繰り返してってのはちょっと…

 選択肢3
 精緻化リハーサルのことです。情報を長期記憶に転送するための方法のことで、長期記憶に貯蔵されている情報と関連付けたり、関連する場面や状況をイメージしたりする行為などがこれにあたります。精緻化リハーサルは情報が長期記憶に転送される確率が高いため、思い出しやすくなります。

 選択肢4
 長期記憶に貯蔵されている宣言的記憶と非宣言的記憶のことを指しています。

 したがって答えは2です。

 多重貯蔵モデルについては複雑なのでここには書ききれません。以下のページに詳しくまとめています!
 参考:多重貯蔵モデルとワーキングメモリ、記憶についてまとめ!

 

問4 ワーキングメモリ

 ワーキングメモリは情報を一時的に保持する機能だけでなく、情報を処理する機能があります。貯蔵された情報は7秒ほど保持し、情報が長期記憶に転送されなければワーキングメモリ上から消され忘却が生じます。

 1 並行処理が多くなると処理資源を食うので精度も効率も低下します。(外国語副作用と関係あり)
 2 子どものほうが処理容量が少ないと思いますが… とにかく子供と大人では容量は異なります。というか人によって異なります。
 3 ワーキングメモリから長期記憶に転送されないといずれ忘却(消失)します。
 4 ワーキングメモリは言語処理と短期記憶の役割が備わっています。

 したがって答えは1です。

 参考:多重貯蔵モデルとワーキングメモリ、記憶についてまとめ!

 

問5 外国語副作用

  学習者が第二言語を用いる際、ワーキングメモリの処理能力をその第二言語の処理にとられるため思考力が低下することがあります。この現象のことを外国語副作用といいます。

 したがって答えは3です。

 参考:多重貯蔵モデルとワーキングメモリ、記憶についてまとめ!

 





2020年9月30日平成27年度, 日本語教育能力検定試験 解説