平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説

問1 オンライン教材・素材

 1 ネット環境さえあれば世界中どこからでも利用できます。当たり前。
 2 動画や音声を利用することで、現実に近い学習ができます。
 3 紙媒体とオンライン教材を組み合わせて利用することで、授業の幅は広がります。
 4 教材の選定には、学習者のニーズやレディネスを把握している必要がありますし、その内容についても詳しく知ってないといけません。ある程度のスキルは必要です。

 したがって答えは4です。

 

問2 時間の経過の影響を受けやすい要素

 選択肢1
 上代日本語にはいろは47字+濁音20の67音でなく、それより20音多い87音(「モ」を加えれば88音)の区別があったようですが、これは奈良時代頃に使われていた日本語で、今から1000年以上の前のことです。音声は時間の経過によって変わりますが、数百年またはそれ以上の時間がかかるものと思われます。
 参考:上代特殊仮名遣 – Wikipediaより

 選択肢2
 本来「全然~ない」でしたが、今では「全然~(肯定表現)」も用いられるようになりました。文法も時間の経過で変化していくものです。これは十数年~数十年単位での変化かなと思います。

 選択肢3
 語彙は特に時間の経過の影響を受けやすいはず。例えば新語・流行語などが代表的で、去年無かった言葉が当然のように認知され使われ出します。こういった語彙は教科書には反映されにくいものの、内容や情報の新しさを考慮するときには注意しなければならない要素です。

 選択肢4
 日本に漢字が伝来したのは4世紀後半の弥生時代だとされており、平仮名が成立したのは平安初期頃だとされています。「安」が「あ」に変化するのに数百年かかっているようです。

 文法と語彙はいずれも時間の経過に影響を受けやすいですが、語彙の方が数年単位で変化します。
 したがって答えは3です。

 

問3 初級で扱う構造シラバスの利点

 シラバスデザインでは、ニーズ分析、レディネス分析の結果に基づき、そのコースで学習者に何をどう教えるのか(シラバス)を検討します。 シラバスとは教師が学生に示す講義・授業の授業計画のことで、以下のいくつかに分類されます。

構造シラバス 言語の構造や文型に焦点を当てて構成されたシラバス。オーディオリンガルアプローチやサイレントウェイで用いられる。
機能シラバス 依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能に焦点を当てて構成されたシラバス。
場面シラバス 「レストランで注文する」や「スーパーで買い物をする」などの使用場面に焦点を当てて構成されたシラバス。
トピックシラバス
話題シラバス
ニーズ分析などを踏まえ、学習者の興味がある内容や実社会で話題になっている話題を中心に構成されたシラバス。
スキルシラバス
技能シラバス
言語の四技能(読/書/話/聞)の中から、学習者に必要な技能に焦点を当てて構成されたシラバス。
タスクシラバス
課題シラバス
言語を使って何らかの目的を遂行することに焦点を当てて構成されたシラバス。ロールプレイなどがこれにあたる。
概念・機能シラバス 機能シラバスと実際のコミュニケーションの場面を組み合わせて構成されたシラバス。依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能を用い、実際にコミュニケーションが行われる場面で目標を達成するような活動を進めていく。コミュニカティブ・アプローチで行われるゲームやロールプレイ、シミュレーション、プロジェクトワークなどのこと。

 初級では構造シラバスに基づく内容が多いとあります。確かに初級では「私は~です」「~に~があります」「~が欲しいです」みたいな簡単な文型をたくさん勉強します。初級はなぜこういう文型の導入が多いのか、その利点についての問題です。

 選択肢1
 初級では定型的な表現が多く、応用することはあまり求められません。学習者も創造的な発話ができないレベルであることが多いので、初級の文型を学ぶだけでは現実場面の課題解決に対応しにくいです。

 選択肢2
 正しいです。「私は~です」の「~」の部分にいろんな言葉を入れられますので、学習者にとっては文型のパターンを把握しやすいです。

 選択肢3
 例えば動テ形を教える前に「~てください」「~てもいいですか」などのテ形を使う文型を教えても正しく使えません。導入する順番を変えることは容易ではありません。

 選択肢4
 コンビニでアルバイトしたい、日本人の彼女を作りたいなどいろんなニーズがありますが、初級レベルの内容ではなかなか満たせないニーズもあります。

 したがって答えは2です。

 

問4 レアリア

 レアリア(生教材)とは、実際の社会で用いられている物のことです。例えば果物を学ぶ場面において、本物の果物を持っていくことで学習者の興味を引いたりすることができます。

 1 「りんご」を学ぶために、日本産のりんごを持って行く必要はありません。
 2 次々とレアリアを見せることで文型練習はできると思います。
 3 レアリアはどんなレベルでも関係なく興味を引けます。正しいです。
 4 実物を通して、それにまつわる話を弾ませたりできます。

 したがって答えは1です。

 

問5 著作権の侵害

 以下のページが参考になりそう。
 ・https://www.jasrac.or.jp/info/dl/gaide_35.pdf
 ・著作物が自由に使える場合 | 文化庁

 選択肢1
 自分で見るために録画するなら別に良いんですけど、それを授業でまるまる使うのはダメです。必要最小限の部分を利用するなら大丈夫です。

 選択肢2
 市販の問題集は買った人が使用することを想定しているものなので、こういうものを複製して配るのはダメです。

 選択肢3
 一つ目の参考ページには「授業のたびに、同一の新聞・雑誌などのコラム、連載記事を継続的に複製すること」が著作権者等の利益を不当に害すると書かれてますので、ダメです。

 選択肢4
 一部なら良いみたい。

 したがって答えは4です。





2020年10月4日平成27年度, 日本語教育能力検定試験 解説