平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題4解説

問1 オーラル・メソッド

 オーラル・メソッドが開発された経緯を簡単に説明すると…

 外国語教授法の歴史の最初期は文法訳読法が主流でしたが、この方法だと会話能力が身につかないという批判から、媒介語を使わないダイレクト系メソッドが誕生しました。
 ですが! 媒介語の使用を禁止しちゃった結果、教える効率が下がってしまいました。
 なので、なるべく媒介語は使わないけど少しくらいは使ってもいいよっていう折衷的な方法が取られて、パーマーによってオーラル・メソッドが開発されました。つまり、媒介語を使わないダイレクト系メソッドを改良したのがオーラル・メソッドというわけです。
 
 したがって答えは3です。

 参考:外国語教授法の変遷についてまとめ!

 

問2 全身反応教授法/TPR (Tota Physical Response)

 1 SAPL (Self-Access Pair Learning)
 ペアやグループで学習するコミュニケーション重視の学習法だそうです。覚えなくてもいいやつ。

 2 全身反応教授法/TPR
 幼児の母語習得過程を参考にしている教授法です。幼児は母語習得過程で何も話さないで聞く期間(沈黙期)があるという考えから、まずは聴解を優先していく教え方をとります。
 全身反応教授法と言えば「体を動かしながら」ですが、珍しくこの言葉がない問題でした。

 3 CLL (Community Language Learning)
 カラン (Curran)が提唱した、カウンセリング理論を外国語学習に応用して開発した教授法です。「カウンセリング」という言葉が来たら絶対CLLですので覚えてください。

 4 VT法 (Verbo-Tonal Method)
 言語聴覚論に基づいた教授法。リズムやイントネーションを重視し、身体リズム運動を活用するのが特徴。
 この教授法は… かなりマイナーな感じがしますので、別にあんまり覚えなくても良さそうです。
 
 したがって答えは2です。

 参考:外国語教授法の変遷についてまとめ!

 

問3 サジェストペディア

 サジェストペディア
 ロザノフ(G.Lozanov)が開発した外国語教授法。学習者の不安や緊張などを取り除くために、教室はリラックスできるような環境作りに徹し、絵画や観葉植物が置かれ、光などにも配慮する。クラシック音楽を流しながら、さながらコンサートのような教室活動を行うのが特徴的。

 「緊張や不安を取り除き」がまさにサジェストペディアです。サジェストペディアは他にもコンサート、クラシック、リラックスなどの言葉がヒントになります。
 したがって答えは1です。

 ちなみに、選択肢3の「模倣練習」「文型練習」は、それぞれ「ミムメム練習」と「パターン・プラクティス」を指してます。この単語が来たらオーディオリンガル・メソッドって覚えてください。

 参考:外国語教授法の変遷についてまとめ!

 

問4 オーディオ・リンガル・メソッド

 オーディオ・リンガル・メソッド
 戦後1940年代から1960年代にかけて爆発的に流行した教授法。アーミーメソッドの口頭練習の成果が評価され、音声中心の練習であるパターン・プラクティス(pattern practice)が生まれた。パターン・プラクティスやミムメム練習、ミニマルペア練習によって、目標言語を無意識かつ自動的、反射的に使えるようになることを目標とする。音声・文法の正確さと自然な発話速度を特に重視している。

 1 パターン・プラクティスで何度も復唱して正確な音声を身につけるのはオーディオリンガル・メソッドの特徴です。
 2 オーディオリンガル・メソッドでは特に口頭練習を重視していますので、この選択肢は間違いです!
 3 ミムメム練習やパターン・プラクティスは教師の指示(刺激)と学習者の反応を繰り返す練習で、オーディオリンガル・メソッドの特徴です。
 4 オーディオリンガル・メソッドは初めから文法や音声を正確に産出することを求められます。オーディオリンガル・メソッドの特徴です。

 したがって答えは2です。

  参考:外国語教授法の変遷についてまとめ!

 

問5 コミュニカティブ・アプローチ

 コミュニカティブ・アプローチ概念・機能シラバスを用いて現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で再現するのが特徴です。

 シラバスは以下の種類に分けられます。

構造シラバス 言語の構造や文型に焦点を当てて構成されたシラバス。オーディオリンガルアプローチやサイレントウェイで用いられる。
機能シラバス 依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能に焦点を当てて構成されたシラバス。
場面シラバス 「レストランで注文する」や「スーパーで買い物をする」などの使用場面に焦点を当てて構成されたシラバス。
トピックシラバス
話題シラバス
ニーズ分析などを踏まえ、学習者の興味がある内容や実社会で話題になっている話題を中心に構成されたシラバス。
スキルシラバス
技能シラバス
言語の四技能(読/書/話/聞)の中から、学習者に必要な技能に焦点を当てて構成されたシラバス。
タスクシラバス
課題シラバス
言語を使って何らかの目的を遂行することに焦点を当てて構成されたシラバス。ロールプレイなどがこれにあたる。
概念・機能シラバス 機能シラバスと実際のコミュニケーションの場面を組み合わせて構成されたシラバス。依頼する、慰める、同意する、拒否する、提案するなどの言語の持つ機能を用い、実際にコミュニケーションが行われる場面で目標を達成するような活動を進めていく。コミュニカティブ・アプローチで行われるゲームやロールプレイ、シミュレーション、プロジェクトワークなどのこと。

 1 場面シラバス
 2 「読む」に焦点を当てたスキルシラバス、技能シラバス
 3 機能シラバス (機能シラバスを実際のコミュニケーション場面に組み込んだ授業をすると概念・機能シラバスになります)
 4 話題シラバス、トピックシラバス

 したがって答えは3です。

 





2020年9月22日平成27年度, 日本語教育能力検定試験 解説