日本語教師のお仕事

 ついさっき3年生の夜の会話の時です。
 会話に来ておきながらやる気が全然無く、準備も無く、こういう状態が続いていたために叱りました。
 諭すように叱ったのでたぶんかなり怖かったと思います…。

 今学期の夜の会話は自由予約制。
 もとはと言えば彼女たちから「会話をしたい」と言った身ですから、それなりの態度が求められます。
 それが分かっていないようでしたのでやむを得ずでした。できればこういうことはしたくないものですが、彼女たちにとっては必要なタイミングだったはずです。
 明日はまた彼女たちの授業がありますが、こういうときはできるだけ前日の出来事を引きずらないように接することが重要ですね。

 以前同僚の先生とこのような場合どうすればいいかについて話し合ったことがあります。
 その先生の考え方は私と正反対で、「学生に勉強しなさいと言うことは教師の責任で、仮に嫌われたとしても何度も何度もしつこく言うことが必要」と言っていました。

 今回叱った3年生に叱る前に将来何をしたいか聞いたところ、「今は日本語の大学院に進みたい」と言いました。
 だからこそ、私も厳しく叱りました。もしそうでなければ、惰性の会話でも容認して続けていたかもしれません。
 私は「1年生の内容からまた勉強しなさい」と言ったのですが、彼女は「もし機会があればそうします」と言うに留まり、このような状態では合格できないのは目に見えていて心配です。

日本語コラム

 先日一年生からこのような質問をもらいました。

「すみません」「すいません」はどっちも謝罪を表しますよね。
じゃあこのふたつの違いって何ですか?

 日本人には気付きにくい部分。こんな純粋な質問は大好物です。
 というわけでその違いについてまとめてみました。

 

「すみません」と「すいません」の違い

「すみません」と「すいません」の語源

 元々は動詞「済む(すむ)」から来ていて、その否定形「すまない/すまぬ」を丁寧形にすれば「すみません」になります。
 この「済む」と「澄む」の語源は同じです。

 
 「済む」物事の完了や予想していた程度以下や範囲内で収まること、十分足りることを表します。
  (1) 宿題が全て済んだ。(宿題が全て終わった。)
  (2) 軽い怪我で済んだ。
  (3) 図書館から借りれば買わずに済む。

 「澄む」不純なものを含まず混じりけがないことを表します。
  (4) 空気が澄んでいて気持ちが良い。
  (5) 彼女は澄んだ目をしている。
  (6) 池に澄む月にかかれる浮雲は 払ひ残せる水錆なりけり

 
 ここから転じて、相手に対して失礼なことをしてしまい心が澄んでいない、まだ何か心残りがある状態を「すみません」と言うようになりました。今では謝罪や感謝、依頼などを意味を表します。
 相手を呼び止める際に「すみません」というのは、多少の謝罪の気持ちが含まれているからです。

 そしてこの「すみません」の「み」の子音mが脱落して母音だけが残り「すいません」となりました。単に発音しやすくしたためと思われます。
 こういう場合は言いにくいほうが大体最初ですよね。

 

「すいません」は話し言葉

 以上の語源から見ると「すみません」のほうが最初と言えます。なので正しい日本語は「すみません」です。しかし実際の会話ではどちらを使っても問題はありません。
 ただし文章やメッセージなどでは「すみません」を使ったほうがいいですし、ビジネスの場面ではもっと丁寧な表現を使うべきです。

書き言葉 すみません
話し言葉 すみません/すいません
ビジネス 申し訳ございません/申し訳ありません等々…

 

更に崩れた「さーせん」という言い方

 「さーせん」とは、「すいません」をさらに省略して発音したときの言い方です。カタカナで「サーセン」と書かれることもあります。
 かなり砕けた表現ですので謝罪に使うにはあまりにも軽く、場合によっては相手を侮辱するニュアンスを含むこともありますので注意が必要です。当然ながら正式な場では使うことはできません。

 似たような表現は他にもいくつかあります。
  (7) こんにちは ⇒ ちーっす/ちわーっす/ちわー
  (8) ありがとうございます ⇒ あざーす/あざーっす

 ちゃらちゃらした若者やネットで使われることがありますが、現在ではほぼ死語です。

 

まとめ

 「すみません」は書き言葉にも話し言葉にも使えます。
 「すいません」は会話特有の言い方です。
 意味の違いはありません。

1年生前期会話

 第6回目の授業です。
 今回は「います」を勉強します。

 まずは復習から。
 先週宿題にした会話文をもう一度復唱、そしてカバンや水やスマホを使って位置の練習を何度も繰り返します。
 とにかくたくさん発話させます。

 あとはプリントに従って進みます。
 例文を読ませて厳しく発音を訂正。
 「~は~にいます」「~に~がいます」「~はどこにいますか?」と3つの文型を導入します。
 文字に起こして説明するとこんなものですが、ここまでで60分くらいかけました。
 ついでに「あります」と「います」の違いについても簡単に説明するといいです。

 最後に実践的な練習を。
 教壇に4人~5人くらい呼んで、一列に並ばせます。
 まずは一人ひとりの名前を確認し、「〇〇さんはどこにいますか?」と聞きます。
 目標は「〇〇さんは、△△さんの右にいます。」などと、位置を正しく言えることです。
 右、左、隣、近くなど、正しく言えれば何でもいいです。
 教壇の数人の向きを変えると、後ろ、前などの位置も練習できます。

 それが終わったら今週の宿題。p33の前文としました。
 まずは私が一文ずつ読んで復唱させ、その後は数人に読ませて発音訂正。

この辺りは学園都市です。学園都市には色々な大学があります。キャンパスはみんな新しいです。
ここは私たちの大学です。この高い建物は図書館です。その建物は閲覧室です。あの建物は大学のゲストハウスです。
学生は朝は教室にいます。午後は閲覧室にいます。夜は寮にいます。大学には広場があります。広場には池があります。池の中には綺麗な金魚がいます。
学園都市には地下鉄の駅があります。交通はとても便利です。

 学園都市の撥音「ん」も1拍ですが、1拍分の時間がない学生が多かったです。
 寮、教室などの長音には常に注意させます。
 文末の「~す」は常に軽く発音させます。
 金魚の「ぎょ」は鼻濁音で。

 大体この辺りを注意させました。

 今回は以上です。