日本語教師のお仕事

 今日は2年生、会話の授業だっていうのに一言も話さない3名の学生を厳重注意しました。ところが2度目はないよと言ったそばから携帯を見出して聞いてすらいなくなったので、3名には来週から来なくてもいいと伝えました。事実上の出禁です。

 今に始まったことではありませんので実際いつ言うかという段階でした。2年生に限って言えばちょっとピリッとする空気の中で授業をすることも必要。ストレートに言えば半数は体たらくですから…。

 来るなとは言っても、当然絶対来るなと言ってるわけではありません。
 あくまで態度を改めろっていう意味の注意なんですが、たぶん伝わっていないんだろうと思います。

 授業の終わりに何か言いにくるかなと待ってたんですが、電光石火で帰って行きました。
 来週本当に来ないのであればそれでも構いません。私もそのくらいの覚悟を持って叱っています。

 
 今までは学生の問題を自分の力でどうにか解決できないかと頭悩ましていたせいで、どこか学生に対して迎合するような授業をしていたと思います。
 こうやると甘く見られやすい。

 しかし嫌われてもいいと思えるようになってから気持ちも楽です。
 駄目なら注意。直らないなら見捨てる。
 相手は大学生ですから、これからはきっちり見切りをつけていきます。

 
 今の1、3、4年生には一度も叱ったことがないだけに、2年生はどうにも苦労させられますね…。

日本語教師のお仕事

 今の2年生後期の会話の授業はディスカッション。
 答えがないテーマで自由討論しているのですが妙にうまくいきません。
 以前から書いているように2年生は自信が無かったり発言するのが恥ずかしかったりとクラスの空気が非常に悪いです。
 こういう雰囲気だと確かにディスカッションなんか当然向きませんよね…。

 自由討論だからダメなのか?
 対立構造がないから駄目なのか? とかいろんなことを考えました。

 だから今週からディベート形式に変えようって考えています。
 ディベートなら賛成か反対かのように2つに分かれますので意見が真っ向から対立します。
 こうすればもっと話してくれるかなあ。

 
 ただし1つ問題もあって、こうすると2年生後期と3年生前期はいずれもディベートとなってしまうんですよね。
 1年間テーマだけ変わってディベートばかりしているのも芸がない気がしないでもありませんが…

 実のところ学生の発話を引き出すためには、ディベートは最も良い方法なのかもしれません。
 試してみようと思います。

 2年生ごめんなさい。
 いつも君たちで試行錯誤ばっかりして…。

日本語コラム

 先日作文の授業で「自分の好きなところ」というテーマを出しました。

 私は「自分が思う自分の良いところ」という出題意図でこのテーマとしたんですが、しかし学生たちは「実家」「寮」「近くのお店」などと書いていてびっくり。

 その時気付きました。
 そっかこのテーマは2つの意味があるんだ…

 

所(ところ)

 「所」にはいろんな意味あります。

 1.物理的な空間、領域、場所(集団)
  (1) 夏休みはおばあちゃんのところに行く。
  (2) 暗いところを一人で歩くときは気を付けてください。

 2.あるものや状況に関する性質の一部分
  (3) 彼のそういう勇敢なところには感心させられる。
  (4) 彼女の好きなところはどこですか?

 3.経過の状態、場面、局面
  (5) 良いところだったのにセリフが棒読みで興ざめした。
  (6) できるところから始めてみてください。

 およそ大きく3つに分けられ、いずれも口語では「とこ」と省略して言うこともできます。
 文法に接続する「ところ」については省略しました。

 

「自分の好きなところ」の意味

 というわけで「ところ」にはいくつもの意味があるんですよね。

  (7) 自分の好きなところ

 なのでこの「ところ」の考えられる意味は2つ。
 1つは自分の性格や外見などのあらゆる特徴など、もう1つは物理的空間を指しています。

 文脈がなく突然こう聞かれれば二通りになってしまって確かにどちらか分からなくなります。
 学生と私の間で認識に齟齬が生じたのはこれが原因でした。

 じゃあ文脈に頼らず明確に伝えるためにはどう言えばいいか。
 まさしく好きな場所を問いたいのであれば「場所」を使えばいいです。性質を問うなら「自分のどんなところ」と言えば間違いありません。

  (8) 自分の好きな場所はどこですか? - 近くの喫茶店です。
  (9) 自分のどんなところが好きですか? - 外向的なところです。

 ちなみに疑問詞を加えても答えは変わりません。

  (10) 自分の好きなところはどこですか? - 外向的なところです。
  (11) 自分の好きなところはなんですか? - 外向的なところです。

 このようにこの言い方は、文脈がないと的確に伝えることができなさそうなんです。

 

作文のテーマはほとんどが名詞

  〇「わたしの家族」
  〇「夏休みの思い出」
  〇「大人になったらしたい事」

 作文のテーマはいずれも名詞です。どれだけ長くなっても文全体で名詞になるような接続をします。
 ですからこのようなテーマはなんか変に感じます。

  ✕「あなたの家族を紹介してください」
  ✕「夏休みの思い出は何ですか?」
  ✕「大人になったら何をしたい?」

 名詞化されていない「自分のどんなところが好き?」はテーマとして不適切。だから「自分の好きなところ」としました。これが後の誤解を生む原因となってしまったんですねー…。

 仮にちゃんと口頭で説明したとしても2通りの解釈があるのはテーマとして駄目!
 学生を混乱させてしまって結構反省してます。
 以後ちゃんと確認しよ。