平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3A解説

(1)等時性(isochronism)

 モーラ/拍 (mora)とは、音韻論上、一定の時間的長さをもった音の分節単位のこと。日本語では拗音が伴う2文字と拗音以外の特殊拍を含む仮名1文字が1拍にあたる。例えば、「にほんごきょういく」は8拍となる。

 1 等時性 (isochronism)
 何らかの音声的な単位が時間的にほぼ等間隔に現れる性質のこと。例えば、日本語は仮名1文字がおよそ1モーラに対応しており、その1拍1拍が時間的に等間隔に並ぶ。これを拍の等時性という。また、このようにモーラについて等時性をなしている言語をモーラリズムの言語(モーラ拍の言語)と呼ぶ。

 2 同化性
 存在しない言葉です。

 3 共時性
 存在しない言葉です。

 4 同時性
 存在しない言葉です。

 したがって答えは1です。

 

(2)モーラの特徴

 日本語の仮名1文字はだいたい1拍に相当しますが、拗音のときだけは前の仮名と一体となって一拍を形成します。

 フシギダネ(5拍) … 特殊拍も拗音もない時は仮名1文字が1拍に相当。
 タネボー(4拍) … 長音は1拍になる。
 キノガッサ(5拍) … 促音も1拍になる。
 メタモン(4拍) … 撥音も1拍になる。
 ピカチュウ(4拍) … 拗音は前の音と一体となって1拍になる。

 したがって答えは2です。

 

(3)言語におけるリズム

 あらゆる言語は言語ごとに異なるリズムを持っていて、そのリズムの特徴によって大きく2種類に分けられます。このリズムは詩などを作る際に特に重要な性質となります。

種類 説明 言語
強勢リズム
(強勢拍の言語)
強勢のある音節が時間的にほぼ等間隔に繰り返される言語のこと。 英語、ロシア語、ドイツ語など。
音節リズム
(音節拍の言語)
各音節が時間的にほぼ等間隔に現れる言語。 中国語、スペイン語、フランス語など。
モーラリズム
(モーラ伯の言語)
モーラについて等時性をなしている言語。 日本語が代表的。

 ※モーラリズムは音節リズムに含まれます。

 したがって答えは2です。

 

(4)特殊拍について

 特殊拍とは、長音、促音、撥音の総称。単独で音節を形成できず、1拍にはなっても1音節とはならない。そして前後の環境によって出現する音が決まるという共通した特徴がある。また、語頭や音節頭には現れないため、出現は音節の後部要素に限定される。

 特殊拍も一拍として数えられますが、語頭や音節頭には現れません。つまり日本語の特殊拍は「音節の後部要素」に限定されます。要するに、「ん」「-」「っ」から始まる日本語は基本的にないということです。

  (1)✕ んさとう (特殊拍は語頭に使えない。)
  (2)✕ ーしょうゆ (特殊拍は語頭に使えない。)
  (3)✕ っおす (特殊拍は語頭に使えない。)

 
 1 「かんむり」「かっぱ」「カーブ」のように、特殊拍は音節末に現れますので適切
 2 促音は先行拍によって調音点が変わるので適切。なお、撥音は後続する音によって調音点が変わります。
 3 特殊拍から始まる日本語は基本的にありませんので適切
 4 特殊拍は子音音素を含まずに単独で1拍を形成しますので不適切

 したがって答えは4です。

 参考:撥音の異音・調音点・相補分布

 

(5)外来語のアクセント核

①外来語は、通常語末から3拍目にアクセント核が来る。
②ただし、語末から3拍目が特殊拍の場合あるいは二重母音の第二要素の場合は、アクセント核が前の拍に移る。
③もともと2拍の単語は、アクセント核が語末から2拍目(頭高型)になる。
④日本語に古くからある単語は①~③に該当しないことがある。

 参考:東京外国語大学言語モジュール 6 アクセント(外来語)

 外来語のアクセントには以上のような共通点があるようです。
 仮にこれを知らなくても、「アスファルト」のアクセント核を調べれば答えは分かります。
 アクセント核は後ろから3拍目なので、したがって答えは3です。





平成29年度, 日本語教育能力検定試験 解説