形式名詞と実質名詞

 日本語の名詞は形式名詞と実質名詞の2つに分けられます。

形式名詞と実質名詞

 形式名詞とは、名詞として扱われるがそれだけでは実質的な意味がないか、あるいは元々の意味が薄くなっている名詞のことです。例えば「早く起きることができない」の「こと」は実質的な意味がなく、節を名詞化する機能しかありません。

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 (1) 彼が休みをとったとは知らなかった。どうりで来ないわけだ。
 (2) 二人で協力すればきっとうまくいくはずだ。
 (3) 出会った頃から彼女のことがずっと好きだった。
 (4) 人生とはうまくいかないものだ。
 (5) お忙しいところ恐縮です。
 (6) 来年留学するつもりです。
 (7) せっかくレストランに来たのに食べたいがない。
 (8) 台風のため、休校となりました。

 
 実質名詞とは、それだけで実質的な意味を持つ名詞のことです。「私が知りたいのは、彼が来なかったわけだ」の「わけ」は”理由”や”原因”に言い換えることができるので、実質的な意味があります。節を名詞化する機能があるのは形式名詞と共通しています。

 (9) 彼が来ないのはそういうわけだったのか。
 (10) ことの重大性に気付いた。

 

形式名詞の見分け方

①節を修飾して名詞化している

 節を名詞化しているものが形式名詞です。「~たことがある」や「~しないわけではない」などの文法中にも用いられます。

 (11) 彼が盗んでいるを見た。(形式名詞)
 (12) 長期出張することになった。(形式名詞)
 (13) の重大さに気付いた。(実質名詞)

 

②主語にならない

 形式名詞は節を修飾して名詞化する機能しかありませんので、単独では主語になりません。つまり常に文中か文末にしか使用されません。

 (13) ギターを弾くことができる。(形式名詞)
 (14) は金なり(実質名詞)

 

③平仮名で書かれる

 形式名詞はそれ自体に実質的な意味がないので漢字で表記されません。一方実質名詞は漢字で表記してもいいです。

 (15) そんなわけがない。(形式名詞)
 (16) これには深いがある。(実質名詞)
 (17) 言っていることのわけが分からない。(実質名詞)

 





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