【第75回】「すみません」と「すいません」の違い

日本語コラム

 先日一年生からこのような質問をもらいました。

「すみません」「すいません」はどっちも謝罪を表しますよね。
じゃあこのふたつの違いって何ですか?

 日本人には気付きにくい部分。こんな純粋な質問は大好物です。
 というわけでその違いについてまとめてみました。

 

「すみません」と「すいません」の違い

「すみません」と「すいません」の語源

 元々は動詞「済む(すむ)」から来ていて、その否定形「すまない/すまぬ」を丁寧形にすれば「すみません」になります。
 この「済む」と「澄む」の語源は同じです。

 
 「済む」物事の完了や予想していた程度以下や範囲内で収まること、十分足りることを表します。
  (1) 宿題が全て済んだ。(宿題が全て終わった。)
  (2) 軽い怪我で済んだ。
  (3) 図書館から借りれば買わずに済む。

 「澄む」不純なものを含まず混じりけがないことを表します。
  (4) 空気が澄んでいて気持ちが良い。
  (5) 彼女は澄んだ目をしている。
  (6) 池に澄む月にかかれる浮雲は 払ひ残せる水錆なりけり

 
 ここから転じて、相手に対して失礼なことをしてしまい心が澄んでいない、まだ何か心残りがある状態を「すみません」と言うようになりました。今では謝罪や感謝、依頼などを意味を表します。
 相手を呼び止める際に「すみません」というのは、多少の謝罪の気持ちが含まれているからです。

 そしてこの「すみません」の「み」の子音mが脱落して母音だけが残り「すいません」となりました。単に発音しやすくしたためと思われます。
 こういう場合は言いにくいほうが大体最初ですよね。

 

「すいません」は話し言葉

 以上の語源から見ると「すみません」のほうが最初と言えます。なので正しい日本語は「すみません」です。しかし実際の会話ではどちらを使っても問題はありません。
 ただし文章やメッセージなどでは「すみません」を使ったほうがいいですし、ビジネスの場面ではもっと丁寧な表現を使うべきです。

書き言葉 すみません
話し言葉 すみません/すいません
ビジネス 申し訳ございません/申し訳ありません等々…

 

更に崩れた「さーせん」という言い方

 「さーせん」とは、「すいません」をさらに省略して発音したときの言い方です。カタカナで「サーセン」と書かれることもあります。
 かなり砕けた表現ですので謝罪に使うにはあまりにも軽く、場合によっては相手を侮辱するニュアンスを含むこともありますので注意が必要です。当然ながら正式な場では使うことはできません。

 似たような表現は他にもいくつかあります。
  (7) こんにちは ⇒ ちーっす/ちわーっす/ちわー
  (8) ありがとうございます ⇒ あざーす/あざーっす

 ちゃらちゃらした若者やネットで使われることがありますが、現在ではほぼ死語です。

 

まとめ

 「すみません」は書き言葉にも話し言葉にも使えます。
 「すいません」は会話特有の言い方です。
 意味の違いはありません。

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Posted by そうじ