【第73回】動詞のグループ判別方法について

日本語コラム

 日本語の動詞は大きく3つのグループ「一段活用」「五段活用」「変格活用(サ変/カ変)」に分けられます。
 グループによって活用の方法が変わるため、このように分類されました。
 日本では中学校の国語で動詞の分類「上一段活用」「下一段活用」「五段活用」などについて学びますが、正直こんなことを知らなくても動詞の活用ができるのがネイティブの強みです。

 しかし日本語学習者にとってはそうはいきません。
 その動詞がどのグループに属するのかが分からなければ動詞の活用もできなくなります。
 初級では五十音図と動詞活用の規則性を頭に叩き込まなければいけませんので、実は日本語は学び始めには大きな山があると言えます。

 では、動詞を見てどうやってグループを判別するか。
 いくつかの方法があるので紹介します。

動詞の簡単なグループ分け(日本語ネイティブ専用)

辞書形を動ない形にしてみる

 辞書形を「動ない形」にしてみるとその動詞が一段活用か五段活用か一目で分かります。
 これは例外が一切ない完璧な法則です!

「ない」の直前の音が「あ段」なら五段活用
「ない」の直前の音が「い段」「え段」なら一段活用

  (1) 話す ⇒ 話ない (五段)
  (2) 切る ⇒ 切ない (五段)
  (3) 死ぬ ⇒ 死ない (五段)
  (4) 居る ⇒ ない (一段)
  (5) 食べる ⇒ 食ない (一段)
  (6) 忘れる ⇒ 忘ない (一段)

 これならいとも簡単に分かりますが、実はこの方法、日本語ネイティブ専用の判別方法。日本語学習者はグループ分けできません。
 なぜなら日本語学習者はそもそも動ない形を知らないからです。
 日本語学習者は、動ない形を使わない動詞の判別方法を身に付けなければいけません。これが少々骨が折れます…。

 

動詞のグループ分け(日本語学習者用)

 そこで編み出されたのが、辞書形からグループ判別する方法。
 かなり複雑を極めます。

動詞の最後の字を見る

動詞辞書形の最後の平仮名が「う」「く」「す」「つ」「ぬ」「む」「る」「ぐ」「ぶ」で終わるものは五段活用。
ただし、「い段の文字+る」または「え段の文字+る」で終わるものは一段活用。

  (7) 結 (五段)
  (8) 勝 (五段)
  (9) 学 (五段)
  (10) 食べる (一段)
  (11) 倒れる (一段)
  (12) 見る (一段)

 しかしながらこの方法は完璧にグループ分けすることはできず、例外があります。
 以下の動詞は上の方法で一段動詞だと判別されてしまいましたが、実は五段動詞です。

切る、斬る、伐る、しめきる、おもいきる、かしきる、かりきる、捻じ切る、値切る、割り切る、区切る、千切る、句切る、裏切る、見切る、貸切る、間切る、仕切る、返る、帰る、還る、ひっくり返る、呆れかえる、寝返る、引っ繰り返る、振り返る、煮えかえる、煮えくり返る、見返る、静まり返る、射る、要る、入る、立ち入る、寝入る、うねる、しくじる、ちびる、のめる、上がる、交じる、参る、喋る、契る、奔る、孵る、弄る、怖じる、愚痴る、抉る、捩る、捻じる、捻る、掻き毟る、握る、攀じる、散る、曲がりくねる、毟る、混じる、減る、湿る、滑る、漲る、火照る、焦る、煎る、照る、煮えたぎる、熱る、猛る、率いる、知る、競る、練る、繁る、罵る、翻る、茂る、要る、覆る、見知る、見限る、詰る、謗る、譏る、走る、踏みにじる、蹴る、軋る、迸る、過ぎる(よぎる)、遮る、阿る、限る、陥る、陰る、齧る、滾る…

 ここに列挙しただけで100個近くの例外が見つかりました。(私調べ)
 そこで、更にここから絞り込む方法を試してみます。

 

漢字と送り仮名の字数で判別する

ただし、漢字表記にしたときに「漢字1文字+送り仮名1文字」のものは五段活用。「漢字1文字+送り仮名2文字」のものは一段活用。
(複合動詞の場合は後ろの動詞を参照する。)

 漢字が分かれば、その漢字と送り仮名の字数の関係でもグループ分けすることができます。
 上記の例外から更に絞り込みをしてみましょう。

うねる、しくじる、ちびる、のめる、愚痴る、捻じる、攀じる、曲がりくねる、火照る、踏みにじる、上がる、交じる、怖じる、混じる、率いる、過ぎる(よぎる)

 今度は「~きる」「~かえる」などの多くの動詞が五段動詞として正しく判別されましたが、漢字に変換できなかった一部の動詞、そして数少ない例外がまだ残っています。
 特に「上がる、交じる、怖じる、混じる、率いる、過ぎる(よぎる)」は、この判別方法に照らし合わせてみると一段動詞だ!と言いたくなります。しかし五段動詞です。この数少ない例外たちのせいで、この判別方法は完璧ではなくなっているというわけですね。

 

まとめ

例外があるとはいえ精度は高い

 この検証をするにあたって2500個近くの動詞を集めました。
 動詞辞書形の最後の平仮名を見る判別方法では、2500個の内2375個が正しく判別され、精度は95%とかなり高めです。
 さらに漢字と送り仮名から見る判別方法を使えば、例外だった125個の動詞が16個に減りました。(99.3%)

 これらの例外は結局のところ覚えるしかないという結果ですが、日本語学習者は辞書形だけを見てグループ判別しているわけではありません。
 たとえば「上がらない」という言葉が耳に残っていたとすれば、この形から「上がる」は五段動詞だと判別できます。このように聞いたことのある、見たことのある活用形から逆算してグループ判別することもできます。

 以上です。

日本語コラム

Posted by そうじ