【第71回】格助詞「の」が省略できる時とは?

日本語コラム

 日本語を学び始めて1ヶ月の1年生からこんな質問を受けました。

(*´・д・) 先生、「五階教室」と「五階の教室」どっちが正しいですか?
(人´∀`) 「五階の教室」だよ。
(*´・д・) じゃあ「日本語科一年」はどうですか?
(人´∀`) それは良いよ。問題ないね。
(*´・д・) 「日本語科の一年」も大丈夫ですよね?
(人´∀`) …うん、大丈夫。
(*´・д・) えっ、じゃあ「の」が必要なときと必要じゃないときって何が違うの?
 
(*゚Д゚) …

 「五階教室」は間違いで、正しくは「五階の教室」です。
 一方「日本語科の一年」は正しいですが、「日本語科一年」でも間違いではありません。

 格助詞の「の」って、どんな時に省略できるのでしょうか。
 こんなに身近な問題を考えたこともなかったし、それに対してすぐ答えられなかったのがすごく悔やまれます…。

 というわけで調べてみました。
 ※ここでは格助詞「の」の「名詞+の+名詞」という形をとらない主格や体言の代用、同格の用法については述べません。これらは当然省略不可です。

 

 

「の」を省略できる3つのタイプ

所属を述べる時

  (1) 私は日本語科(の)一年です。
  (2) 〇〇大学(の)経済学部(の)3年
  (3) 株式会社〇〇(の)人事部(の)斎藤です。
  (4) 青森県警(の)巡査部長

 所属は「A大学のB学部の3年生の斎藤です。」のように上位から順に述べるため、「の」を複数回使わなければならないこともあります
 このように何度も「の」を使うとうるさく聞こえるので、一般的に全部あるいはいくつか省略されて言われることが多いようです。

 

地名を述べる時

  (5) 私たちはイタリア(の)ローマにやって来ました。
  (6) アメリカ(の)ニューヨークは、合衆国最初の首都が置かれた都市である。
  (7) 河北省(の)石家庄市の人口は1000万人を超えている。

 地名を述べるときも「の」は省略できます。
 「の」を省略して読み上げるときは、元々「の」があった場所で一呼吸置かれて読むことが多いです。

 

二つ以上の名詞が結び付いて一つの名詞となった場合

  (8) マラソン(の)大会に参加する。
  (9) 会議では反対(の)意見も重要。
  (10) 動画(の)再生(の)回数
  (11) 全自動(の)洗濯機
  (12) 頭皮(の)マッサージ

 二つ以上の名詞が結び付いて一つの名詞として認識されている場合は「の」を省略できます。
 このような場合は「の」を言わないのがより一般的です。

 一つの名詞として扱われるので、発音も個別に発音するときと変わるのが特徴です。
 頭皮(1)+マッサージ(4)= とうひまっさーじ(7)

 

「の」を省略できない2つのタイプ

「の」を含む形が元々一つの言い方として扱われている場合

  (13) 髪
  (14) トイレ花子さん
  (15) 鋼心臓
  (16) 眠り小五郎
  (17) 井蛙大海を知らず

 「の」を含みながらも省略できないのは、その言葉自体が既に一つの単語や諺、慣用句として定着しているためです。
 このような場合は絶対に省略できません。

 

連体修飾格の場合

  (18) 隣部屋
  (19) ゴミ箱
  (20) 五階教室
  (21) 友達携帯
  (22) 話流れ

 格助詞「の」にはもともと名詞と名詞の間に置かれてそれらの関係性を表したり、その言葉について詳しく説明したりする機能があります。
 この「の」を連体修飾格と呼び、この時は絶対に省略できません。
 
 

まとめ

  (23) 五階の教室
  (24)✕五階教室
  (25) 日本語科の一年
  (26) 日本語科一年

 「五階」と「教室」はお互いに異なる位置を指していて、この関係性を表すために「の」が必要です。
 一方「日本語科」と「一年」は所属に関する言い方なので「の」を省略することができます。

 まとめると…
 「の」をつけるべきかどうか迷った時はつけてください!
 それを言ったら終わりですが… その方が圧倒的に間違いが少なくなりますよ。

日本語コラム

Posted by そうじ