「ことだ」と「ものだ」の違い
ことだ
忠告、進言、アドバイスを表す
現状よりも更に良くなる方法や手段を示し、話し手の判断に基づいた忠告を表します。
動詞の辞書形、あるいはない形に接続して使います。
「~するべき」「~しなければならない」などと同じような意味を持ちますが、「ことだ」はこれらよりも間接的に忠告するのが特徴的です。
例文
(1) 病院では静かにすることだ。
(2) せっかく休みをもらったなら、どこにも出掛けないでゆっくり休むことだ。
(3) お世話になった人にはちゃんと感謝を伝えることだ。
(4) バレてまずいと思うなら、最初から秘密など作らないことだ。
(5) 自分がされたら嫌なことは、人にはしないことです。
ものだ
本来そうで、当然であることを表す
この文法のポイントは「本来」。
もともとそのようなルール、暗黙の了解、そうするべき理由があるから、当然そうであるという意味です。
社会常識や物事の真理等によって行動規範が客観的に決まっている場合にこの文法を使うことができます。
したがって、この文法を含む文は皮肉の用法を除き、誰が見ても正しいと思うような内容でなければいけません。
動詞の辞書形、ない形だけでなく、い形容詞、な形容詞にも接続できます。
例文
(6) 病院では静かにするものだ。
(7) 先輩の話はちゃんと聞くものだ。
(8) 人は哀しいものですね。
(9) 困ったらときは助け合うものだ。
(10) 未来のことなど誰にも分からないものだ。
(11)✕教室ではうるさくするものだ。(社会通念上理解されない)
まとめ
以上を踏まえて以下の練習問題をやってみましょう。
練習問題1
(一緒に病院にお見舞いに来た親子)
子 : ねえお父さん
親 : どうした?
子 : なんで病院でこんなに静かなのー?
親 : それはね、病院では静かにする( こと or もの )なんだよ。
子 : どうして?
親 : ほら見て、ベッドで寝てる人がいるでしょ
子 : そっかあ、分かったー
練習問題2
(病院内にて大声で会話するAとB)
A : でさ、あいつがトイレに行ってうんこしてたんだよ!
B : えー、マジで! やばっ
A : めちゃくちゃ臭かった!
B : あいつ明日から名前「うんこ」にしようぜ。
C : 君たち、病院では静かにする( こと or もの )だ。
他人の迷惑も考えなさい。
A : …ごめんなさい。
B : すいませんでした。
まとめると…
「ことだ」は忠告
「ものだ」は本来そうである、当然そうであるという意味
したがって練習問題1の答えは「もの」、問題2は「こと」ですね。
大きく意味が異なりますので、誤用には注意してください。
以上です。
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