【第56回】「~ばかり食べる」と「~を食べてばかり」の違い

日本語コラム

 「ばかり」の用法で「名詞+ばかり」と「動て形+ばかり」の2種類の違いは何ですかと質問を受けました。
 調べてみましたのでまとめます。
 同じ疑問を持つ方のお役に立てたら嬉しいです。

ばかり

  (1) うちの子はゲームばかりやっている。
  (2) うちの子はゲームをやってばかりいる。

 この2つの例文には異なる接続の「ばかり」が使われています。
 (1)は「名詞+ばかり」で、(2)は「動て形+ばかり+だ(いる)」です。

 (1)の「ばかり」は同種の物がたくさん存在していることを表しています。
 (2)は同一の動作がたくさん繰り返されていることを表しています。
 接続こそ異なりますが、この2つの例文の意味は同じです。

 

名詞+ばかり

  (3) お菓子ばかり食べている。
  (4) 彼女ばかりと話している。
  (5) 若いころは喧嘩ばかりしていた。

 「ばかり」はその範囲を限定する意味を持ちますので「だけ」と似ています。
 なので、この用法のときの「ばかり」は「だけ」と言い換えることもできます。

  (6)◯お菓子だけ食べている。
  (7)◯彼女だけと話している。

 しかし、「ばかり」はその程度が過ぎていたり、話者の印象が良くない対象に対して使われます。
 したがって明らかに否定的なニュアンスのある文では「ばかり」を「だけ」に言い換えることはできません。

  (8)✕若いころは喧嘩だけしていた。
  (9)✕文句だけ言っている。

 

動て形+ばかり+だ/いる

  (10) お菓子を食べてばかりいる。
  (11) 彼女と話してばかりだ。
  (12) 若いころは喧嘩してばかりだった。

 この「ばかり」は動て形に接続して、後ろには「だ」や「いる」が来ます。
 その動詞の動作がたくさん繰り返されることを表します。
 こちらは「だけ」に言い換えることはできません。

  (13)✕お菓子を食べてだけいる。
  (14)✕彼女と話してだけだ。
  (15)✕若いころは喧嘩してだけだった。

 こちらもその程度が過ぎていたり、話者の印象が良くない対象に対して使われます。

  (16) お肉を食べてばかりいると太るよ。
  (17) うちの子は勉強してばかりいる。(勉強しすぎていることに懸念)

 

まとめ

 「~ばかり食べる」と「~を食べてばかり」
 2つの意味は全く同じですが、何を強調するかが違うだけです。
 お菓子を話題にしたい場合は”お菓子ばかり”、食べるを強調したい場合は”食べてばかり”と言うだけです。
 
 「名詞+ばかり」は肯定的なニュアンスの文に限り「名詞+だけ」に言い換えることができます。否定的な文は言い換えることはできません。
 これは「ばかり」の持つ元々の悪い語幹に起因しています。

 以上です。

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Posted by そうじ