【第52回】Perfumeから学ぶ”とっさの否定”

日本語コラム

 Perfume「1mm」は今から5年前にリリースされた曲です。
 当時チョコラBBプラスのCMソングとなってて今でもその印象が強く残ってます。
 ちょっと聴いてみてください!

 この曲のある部分の言葉がすっごく面白いんです。気付きました?
 5年も経ってるから今さらなんですけどね。

 

「もういい くないよ」

 「もういい くないよ」は1mmの歌詞の一部です。

 とりあえず日本語教師として真面目に書きますと…

 ここで使われている「いい」はい形容詞。通常い形容詞は最後の「い」を取り除いた部分が語幹とされ、否定形は”語幹+くない”として表されます。例えば「寒+くない」など。
 しかし、い形容詞の中でも「いい」は特別で、否定形の時は「よ+くない」となります。つまり語幹が変化します。初級の学習者なら間違えやすいところですね。

 でも歌詞では「もういい」の後に「くないよ」と来てます。
 文法的に見れば変ですが、ここではなんで使われてるんでしょ?

 

「くないよ」はとっさの否定

 曲を聴いてもらえれば分かる通り、この「もういい」と「くないよ」の間にはわずかに間(ま)があります。
 この間(ま)が意味するものはとっても大きいんです。

 例えば最初は「もういい」と思っていてそれを口にした瞬間、やっぱり違うと思ったらどう訂正しますか?

 普通なら「やっぱりよくない」と言い直すはずです。
 そしてそれを更に省略したのが「くない」。かなりとっさの判断の時に用いられます。

 ですからこの歌詞で「もういい」と言った時点では本当にそう思っていますが、言い終わった瞬間に考え方が変わってとっさに否定「くないよ」と言ったと推測されます。

 このような言い方は会話の中でも可能です。試験では高確率でダメ。
  ・「うま!…くないね」 (食べ物食べた瞬間)
  ・「仕方ない…くないわ」
  ・「簡単…じゃないな。」

 い形容詞:「くない」
 な形容詞:「じゃない」
 名詞:「じゃない」
 動詞:「ない」

 要するに文法が間違っているわけではなくて、そこには作詞の中田ヤスタカさんの豊富な表現力が多いに詰まっているんですね。
 とっさだと難しいですが、もし覚えてたら使ってみてください!

 

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Posted by そうじ