【第31回】「問題」は形容動詞?
twitterで「問題なこと」と調べてみたら、いくつものヒットがありました。
私も何気なく使っていた言葉ですけど、文法的に見ると間違った使い方なんですね。
日本語に携わらない人なら何のことかとっさに分からないかもしれませんが、学習者は実に鋭く見抜きます。
日本語教師にとっては恐ろしいことです…。
「問題」とは本来名詞。
手元の電子辞書で調べてみても、どこの辞書を見ても名詞と書かれています。
しかし接続に「な」が使われているところを見ると、ここでは「問題」が形容動詞(な形容詞)として扱われているんです。
いったいどういうことでしょう…。
答えは単純で、やっぱり言葉の変化です。
「全然」なんかも同様に、本来とは違う用法で使われることが多くなりました。
「問題なこと」
じゃあ、これを正しく言うなら?
教科書で扱われている標準的な文法に則って説明すると…
名詞と名詞を接続するときは「の」を使います。また、動詞普通形と名詞もそのまま接続できます。
したがってこの場合の正しい言い方は、「問題のこと」「問題があること」です。
今教科書で扱われているごく標準的な文法や単語と会話とでは大きな差があり、それを反映し切れていません。
試験を目標とするのならいいかもしれません。
しかしより実践的な日本語を学びたいなら、中級あたりで色んな疑問を抱くことになると思います。
もちろん、初級の時点でこんな細かい変化ばかり触れていくと学習に悪影響があるので省いているんですけど、そのわりにはいつ使うんだという単語も載せていたりしてるんです。
美しくないと思いませんか?
教科書で学ぶ文法が必ずしも絶対じゃないよということを、教師は分かっていなければいけないと思います。
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