【第15課】モラルジレンマ

スピーチと弁論

 第15回目、最後のディベートの授業です。
 最後ということで今日はとびっきり難しいテーマを用意しました。
 その内容がこちらです。

 ジュリエッタの兄は,大地震の後5日目に,ビルの地下から救出される。
 もともと持病のあった兄は衰弱しきっていたが,病院は治療を待つ人にあふれ,治療を受けることができない。
 1ヶ月後,ジュリエッタは容体が悪化した兄を病院に運び,何百人もの長蛇の列をつくっている人々をすり抜け,とっさに嘘をつく。
 「兄は35日ぶりに今日,がれきの下から救われたのです。どうかお助けください」
 ジュリエッタの訴えを聞いた医者はこの奇跡に驚き,誰よりも先に兄の治療に取りかかった。
 おかげで兄の容体は快復し,「奇跡の生還」としてニュースになるが,ジュリエッタは病院から姿を消し,行方不明になる。

 出典はこちらの論文です。
 生徒が主体的に「考え,議論する」道徳科の実践的研究 ~モラルジレンマ授業を通して~

 テーマはずばり「ジュリエッタ(弟)の行動に賛成か、反対か
 自分の道徳観に照らして分かれてもらいました。

 20名いたのですが、反対は6名しかいませんでした。
 今回の討論では白熱の度合いがまた違い、内容が内容なのでいつもより真剣に取り組む様子がよく見えました。
 価値観の違いから意見が正面衝突し、今までのディベートとは異なるタイプの反論が飛び交います。
 本来討論とはこういうテーマでやるべきなんだなと感じました。

 
 ではそれぞれの意見を紹介します。

 【弟の行動に賛成派】
 ・この世は公平・公正ではない。
 ・チャンスがあれば、それを使うべきだ。
 ・誰を救うかは医者の自由であり、医者によって選ばれる。
 ・家族の愛だから当然だ。
 ・治療するかどうかは医者の判断だから、今回の弟の行動は関係ない。
 ・自分の弟や家族が死ぬことは誰にとっても望ましいことではない。
 ・両親と他人、普通どちらを助けるのか。
 ・法律上家族を助ける義務がある。(?)
 ・家族の命の前に理性など存在しない。
 ・他人と家族は一切関係がなく、チャンスというものは勝ち取るものである。
 ・集団の利益より個人の利益。
 ・命は誰しも1つしかない。
 ・中国では権力のある人が強く、例えばそういう人は病院でも並ぶ必要はなくなる。
 ・弟の発言は、それは権利であり権力である。

 【反対派】
 ・生命は公正でなければならない。
 ・他人が嫌だと思うことをしてはいけない。
 ・他人が嘘をついたことによって自分の家族が助けられなかったとき、あなたはどう思うのか。
 ・一人利己的な人がいるだけで秩序は崩壊し、皆利己的になってしまう。
 ・弟が死ぬことは当然嫌だが、社会にはルールがあり、それは誰しも守らなければならない。
 ・弟の行為は他人の命を犠牲にしている。
 ・多数の最大幸福こそ、法律・道徳の基礎である。
 ・このようなことをしたら、兄は今後生きていく中で恥ずかしいと思うかもしれない。
 ・人々は弟の行動を決して褒めない。
 ・お兄さんの考え方を尊重するべき。

 
 この問題はモラルジレンマと呼ばれているようです。
 その人の道徳観を問いますので、もともと正解というものは存在しません。
 最後に持ってきたテーマとしてはかなり良かったと思います。

 また、学生達も最後ということで気合入れて頑張ってくれました。
 来年の授業にも期待です。ありがとうございました。

スピーチと弁論

Posted by そうじ