【第7課】高齢世代優遇政治

 第七回目の日本経済の授業です。
 今年の日本経済の授業は内容を一新したおかげで学生の食い付きがとてもいいです。
 毎週私も気合入れて準備してます。

 授業はじめに紹介する日本の最近のニュース。
 今日は日本の衆議院選挙2017の各党の街頭演説の様子を見せました。
 日本は選挙期間中ということもあり、せっかくなので私の授業でも選挙に関する話をしました。

 まずは「学校に対して何か不満はありますか?」と聞きます。
 ・シャワーが少なくて、寮から遠い。
 ・食堂のご飯が高い。
 ・食堂が汚い。
 ・学生の数が多い。
 ・寮の部屋が小さい。
 ・かっこいい男が少ない。
 ・かわいい女の子が少ない。
 等々…

 この中から「シャワーが不便だ」という意見が多かったので、私がこのような公約を掲げました。

 ➀負担なしで現状維持。
 ➁学生皆が30元ずつ出して、小さめのシャワー室を新しく作る。
 ➂60元ずつ出して、今と同じくらいのシャワー室をもう一つ作る。
 ➃90元ずつ出して、今よりも大きなシャワー室を新しく作る。

 数分考えてもらい、実際に投票してもらいます。
 雰囲気を出すために、投票箱と投票用紙、色分けした磁石をあらかじめ用意しておきました。
 投票用紙はこちらから配って、➀~➃のうちどれか選択し、投票箱に投票します。

 投票が終わったら選挙管理の私が開票。
 一つずつ読み上げていき、票を得たところに磁石を置いていきます。
 磁石は票の多さを視覚的に理解するために使用します。

 結果はこんな感じでした。

 ➀ 0元案 4票
 ➁30元案 4票
 ➂60元案 6票
 ➃90元案 8票

 ここで学生に質問です。
 「みんなの投票結果を見て、➀~➃のどれにするのが最も良い選択ですか?

 周囲の人とグループを組んでもらい、それぞれグループで一つの意見と、その理由を考えてもらいます。
 5分以上考えてもらった後、各グループごとに黒板に理由を書いてもらいました。
 ➃を選んだ人の理由は「多数決だから」というものが多く、➂を選んだ人は「ちょうどいいから」という理由が多かったです。

 選挙は原則多数決で行われますが、こういうケースは多数決を適用すると不満が高まりやすくなります。
 そういうことに触れながら「中位投票者定理」について教えました。
 中位投票者定理とは、中央の人の意見に決定するやり方です。
 今回参加者は22名ですから、中央は11人目。
 したがって結果は➂の60元案となりました。

 例えば➃90元の人は無いよりはある方がいいし、あるならより大きいほうが良いと考えるはずです。また、➀なくてもいいとか➁小さいのがいいという人たちは、大きいのは要らないですが、もし作るということになればより小さいほうを選択するでしょう。この中間が今回の場合➂でした。

 ここまで来ましたら、パワポの出番です。
 今回は選挙関連ということで、日本の投票率などを詳しく見ました。

 特に少子高齢化になり、高齢者の一票の価値が高まっている点。高齢世代優遇政治です。

 これを改善するためにどうするのか。
 学生に聞いてみたところ、「選挙権年齢を引き下げる」「若者に多くの票を与える」という意見がでました。
 実際現在の日本では、若者一人につき5票与えなければ、年代別で見た一票の価値が同じにならないということになっています。後者も正解とは言えますが現実的ではありませんので、とりあえずは「選挙権年齢を引き下げる」しかありません。

 ここで18歳に引き下げた時の新聞を紹介しました。
 これで200万人ちょっとの有権者が増えたわけですが、全体で見るとたった2.3%しか占めていません。これではまだまだ一票の価値が縮まったとはいえません。

 また、「合理的棄権仮説」というものもあります。
 一票の価値が小さいとき、合理的な有権者はあえて棄権をするというものです。
 若者はこういう状況を鑑みて、あえて投票しないという選択をとっているのかもしれません。

 このように、年代別で見た投票数が大幅に異なると政策にも当然影響してきます。
 年金、医療などの社会保障は高齢者のほうがより必要としているため、年金を削減なんて掲げようものなら得票数がごっそりなくなる可能性もあります。これは政治家にとっては致命的なことで、こういう部分で若者の意見が反映されにくくなっているわけですね。

 ここまでついてこれた学生は半分ほどでした。
 ちょっと難しかったかもしれませんが、実際の模擬選挙をしてみた感触はかなり良かったです。
 時間もやや余り気味だったので、シャワーの選挙の前に何か面白いテーマで選挙してみてもよかったかなと思います。

 以上、7回目の日本経済でした。

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“【第7課】高齢世代優遇政治” への2件の返信

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