【第6回】「家から出る」と「家を出る」

 3年生の女の子が夏休み中に高校生へ日本語を教えていたそうです。まだこの間のN2に合格したばかりですが、教えていたレベルはJ-TESTのFレベルだそうなので大きな問題はなかったと言いますが。それでも日本語の細かいところを質問されると分からず、気まずくなってしまうという経験があったようです。

 さっきその女の子から「家から出る」と「家を出る」は何が違うのかと質問を受けました。確かによく考えてみると全然違いますね。格助詞一つでこうなると、教えるほうも苦労するのも分かります。

 まず格助詞「から」と「を」の違いですが、この場合はいずれも「出発点・起点」を表す意味として使われています。例えば「教室を出ないでください」「教室から出ないでください」。というわけで格助詞自体にも意味に違いがありませんから、日本語学習者がぱっと見ると違いは無いように見えてもおかしくありませんね。

 ただ注意しなければならないのは、「家を出る」は慣用句のように使われている点です。家から離れて、その後もう戻ってこないという意味で使われています。仕事かもしれませんし、親と喧嘩したのかもしれません。

 一方「家から出る」は家から離れますが、いずれ戻ってくるという意味で使われます。これは一般的な用法なので説明はいらないでしょう。

 余談ですが、「家出する」の場合もその後もう戻ってきません。さらに対象は必ず子供で、子供が家庭環境へ何かしらの不満があり、親に無断で家を離れるという状況が付属します。

 ネイティブでない方が教える時は、慣用句にだけは注意しなければいけませんね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。