2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題1解説

問1 他動詞文

 他動詞とは、目的語をとる動詞のこと。意志を持って行われる動作を表す。他動詞は動作主が目的語に対して何らかの影響を及ぼしたり、物を変化させる性質を持つ

 他動詞は一般に「ヲ格を取る動詞は他動詞」と説明されますが、「橋を渡る」「学校を卒業する」等のようにヲ格を取る移動動詞は場所に対して影響を与えているわけではないので他動詞ではありません。他動詞の見分け方は以下になります。

①「~を+動詞」の形になるものは他動詞
②ただし、「[場所]を[移動動詞]」の形をとるものは自動詞
③それ以外の動詞は自動詞

 選択肢1
 正しいです。他動詞は動作主が対象に影響を与えたり、変化させることを表します。

 選択肢2
 何の説明をしているか分かりません。

 選択肢3
 補語とは、文における述語以外の要素のことで、体言単体や「体言+格助詞」の形で述語の意味を補う。例えば「私が彼にボールを投げた」における「私が」「彼に」「ボールを」がこれにあたる。
 他動詞の補語は上述の通り、通常ヲ格を取ります。よってこの選択肢は間違いです。

 選択肢4
 何の説明をしているか分かりません。

 したがって答えは1です。

 参考:自動詞と他動詞の判別方法について

 

問2 迷惑受身(間接受身)

 受身文は大きく、直接受身と間接受身に分けられます。
 直接受身は「彼は先生に褒められた ⇔ 先生は彼を褒めた」のように対応する能動文がありますが、「彼女に足を踏まれた」「彼女に日記を見られた」「雨に降られた」などの間接受身にはありません。この方法を使えばそれぞれを見分けることができます。

 また、間接受身はさらに持ち主の受け身、迷惑の受け身(被害の受身)、自動詞の受け身に分けられ、うち迷惑の受け身とは主語から見て迷惑(被害)と感じることを表します。

 選択肢1の「先生に掃除を頼まれて、面倒だった」は一見すると迷惑と感じているように見えますが、「先生は(私に)掃除を頼んだ」と対応する能動文があるので直接受身文です。直接受身文はその受身自体に迷惑の意味がなく、迷惑の意味があるかどうかは動詞の意味によります

 一方、選択肢3は対応する能動文がありませんので間接受身文であり、主語は明らかに迷惑を感じ、被害を受けています。間接受身文の迷惑の受け身は受身自体に迷惑の意味があり、動詞の意味に依存しません

受身文 能動文
先生に掃除を頼まれた 先生は(私に)掃除を頼んだ
夫が知人に批判された 知人は夫を批判した
花子に先に就職された
若者から席を譲られた 若者は(私に)席を譲った

 したがって答えは3です。

 参考:日本語の受身文、受動文の種類について

 

問3 自動詞

 選択肢1
 受身形は「彼に殴られた」「彼女に日記を読まれた」のように、動作主が意志を持って動作を行い、その動作が受け手に及ぶことを受け手側の視点から表したものです。そのため受身文の動詞は通常意志動詞、他動詞が用いられます。しかし「(雨に)降られた」「(彼に)死なれた」のように、自動詞が受身文になる場合もあります。ここでは雨が意志を持って雨を降らせたとは考えにくいため、他動詞的な使い方をしていながら、実質的に自動詞として機能していると言えます。
 この選択肢は正しいです。

 選択肢2
 自動詞とは、目的語をとらない動詞のこと。意志を持って行われた動作ではなく、自然発生した現象や状態の変化を表す。また、飛ぶ、降りる、上がる、登るのようなヲ格を取る移動動詞も自動詞に分類される。
 自動詞には非意志的な意味のものしかありません。意志的な意味を持つものは他動詞や意志動詞に分類されます。

 選択肢3
 「開く-開ける」のように、お互いに対応する自動詞と他動詞がある動詞の組み合わせのことを有対動詞と言い、そのうち他動詞のほうを有対他動詞、自動詞のほうを有対自動詞と呼びます。有対自動詞をいくつか挙げると、「増える、見つかる、戻る、届く、湧く、壊れる、消える、破れる、下がる、焼ける、変わる、割れる、無くなる、落ちる、決まる、始まる、出る、減る、つく、集まる、汚れる」などがあります。確かに主体の変化を表すものが多いです。

 選択肢4
 選択肢3で挙げたように、有対自動詞の語末が「-asu」になるものは私は見つけられませんでした。語末が「-asu」の形を取るのは「増やす」「沸かす」「減らす」などの有対他動詞に比較的多く見られます。

 したがって答えは2です。

 

問4 文法カテゴリー

 選択肢1
 「読んでいれば」のように、レバ節はアスペクト形式の「ている」にも接続できます。

 選択肢2
 「ながら」は動詞のます形に接続します。能動態にのみ接続できますので、正しいです。

 選択肢3
 「読ませていただろう」では、「せ」がヴォイス、「てい」がアスペクト、「た」がテンス、「だろう」がモダリティです。これらは常にこの順で動詞に後続します。モダリティ形式がヴォイス形式に先行することはありません。

 選択肢4
 選択肢3と同じく、テンス形式はヴォイス形式に先行することはありません。

 したがって答えは2です。

 

問5 主語と視点

 選択肢1
 「昔、◯◯という友達がいたんだけど、彼はとても面白い人だった。」では、「◯◯という友達」と「彼」が主語で、前半と後半でいずれも主語です。後者の「彼」は旧情報ですが主語です。この選択肢は誤りです。

 選択肢2
 正しいです。「積もった雪が事故を誘発した」などの「積もった雪」が無生物で、事態を引き起こす原因です。

 選択肢3
 話し手にとって迷惑である場合、「彼女に日記を見られた」などと受身文で話し手の視点から述べられることが多いと思います。

 選択肢4
 よく分かりませんが… 話し手が事態の参与者であれば、話し手からの視点で述べることが多いと思います。話し手が事態の参与者でなければ、やはり自分の視点から物事を述べるのではないでしょうか。

 したがって答えは2です。

 
 





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説