2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

問1 非同期型のe-learningの問題点

 同期型学習とは、インターネット上でリアルタイムで授業が行われ、教師と学習者が双方向でやり取りできる学習形式のこと。臨場感のある学習を提供できる反面、参加者のネット環境が整っていることや全員を同時刻に参加させる必要があるなどの制約があり。

 非同期型学習とは、リアルタイムで配信されているものを受講するのではなく、インターネット上で既に配信された動画等で学習者の好きな時間に、自分に合ったペースで学習を進める学習形式のこと。学習の進捗状況はネットワークを通じたシステムで自動的に把握できるが、学習意欲の低い学習者に学習を継続させることが難しい

 1 上述の通り、非同期型学習の問題点です。
 2 紙媒体と配信された教材では、どちらが知識を獲得しやすいかは個人差によります。
 3 正誤判定がすぐに得られず、授業を振り返りにくいのはリアルタイムで授業を行う同期型の問題点です。
 4 非同期型は学習の時間と場所が自由で、かつシステムによって学習状況が自動的に把握されます。

 したがって答えは1です。

 

問2 反転授業

 反転授業とは、学習者は教室外で予習を行い、教室での授業ではその予習で得た知識を応用して問題を解くような授業のこと。教師は全体的な導入を行わずに、困っている学習者の手助けを個別に指導する形式をとる。従来型の授業では教師が主体となって導入から応用問題までを行うが、反転授業では教師は学習者のサポートが中心となる。

 したがって答えは1です。

 反転授業は23年度以降初めて出題された用語になります。私は騙されて選択肢2を選んでしまいました…。

 

問3 インストラクショナル・デザイン (ID)のADDIEモデル

 インストラクショナル・デザイン (Instructional Design)とは、学習者の学習意欲をより引き出せるような効率的な学習環境を設計・開発するための教授方法及びそのガイドラインのこと。

 ADDIEモデルとは、インストラクショナル・デザイン (Instructional Design)の理論のIDプロセスモデルの一つで、教授方法や教材などの設計を5つのプロセスに分け、それらを繰り返しながら改善していくというもの。「分析 (Analysis)」「設計 (Design)」「開発 (Develop)」「実施 (Implementation)」「評価 (Evaluation)」の5つのプロセスに沿って設計が進められる。

 したがって答えは3です。

 

問4 著作権の侵害にならない例

 1 自分が書いたわけではないウェブ上の文章をアップするのは著作権の侵害になります。
 2 動画のURLをアップするのは著作権の侵害にはなりません。リンクを載せているだけです。
 3 日本では、著作権は作品を創作すると同時に自動的に発生します。
 4 自分の写真やイラストではないものを切り取って使うのは著作権の侵害になります。

 したがって答えは2です。

 

問5 項目応答理論 (IRT)

 項目応答理論 (Item Response Theory)とは、試験の難易度に依存しないテストの点数を産出するための統計的テスト理論のこと。まぐれ当たりと認められた項目は点数の重みづけを減らし、より正確な能力を測定することができる。日本語能力試験や日本留学試験でも採用されている。

例えば、4択問題100問、配点が1問につき10点で構成され、600点で合格出来るテストを考える。この場合、全く問題に対する知識がない者でも、全ての選択肢を埋める事が出来れば理論上250点は正解出来てしまい、テストが50問ずつ違うジャンルで構成されている場合は片方のみ完璧に仕上げれば、後はまぐれ当たりでも理論的には合格できてしまう。また、きちんとした知識があれば50問のうち大半が正解できて然るべき問題群で12問前後当てられてしまう事もあり、正確な実力判定が難しくなる。 さらに、平均点が低い=実力不足なのか問題が難しかったのかという判定も相対的な尺度でしか確認できず(逆も同じ)、例えば1000点満点獲得した受験者は500点の受験者に比べて単純に実力が2倍あるという訳ではない。
 
 項目応答理論ではこう言った運や問題の難易度による実力判定の困難さをもたらす要素をなるべく排除し、受験者の実力を正確に測ろうとする理論と言える。具体的には下記のモデルを用い、例えば10問の問題群で知識があれば8問以上解けて然るべき問題で散発的にしか正解出来ない場合はまぐれ当たりとみなし、1問あたりの配点を10点未満にするという処置を取れる。
 - 項目応答理論 – Wikipediaより

 したがって答えは4です。

 





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説