2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題6解説

問1 制限作文アプローチの背景にある言語教育の考え方

 制限作文アプローチ (Controlled Composition Approach)とは、特定の文型や表現を使わせて書かせる作文指導法のこと。

 1 グアン・メソッド
 19世紀後半にグアン (Gouin)によって提唱されたナチュラル・メソッドの教授法の一つで、幼児の母語習得過程を外国語学習に適用し、幼児が思考した順に言葉を使うことに着目した教授法のこと。この教授法は山口喜一郎が植民地時代の台湾で導入された。サイコロジカル・メソッド/シリーズ・メソッド/グアン式教授法 (Psychological Method)などとも呼ばれる。

 2 オーディオ・リンガル・メソッド (Audio-Lingal Method)
 戦後1940年代から1960年代にかけて爆発的に流行した教授法。目標言語の音声を特に重視し、教師が中心となってミムメム練習やパターンプラクティス、ミニマルペア練習などを用いて学習し、それらを無意識に自動的に反射的に使えるようになることを目標とする。フォーカスオンフォームズ(言語形式を重視)の教授法。行動主義心理学を理論的背景とする。オーラル・アプローチ (Oral Approach)とも呼ばれる。

 3 コミュニカティブ・アプローチ (Communicative Approaches)
 それまでのダイレクトメソッドやオーディオリンガル・メソッドなどの非現実的な教授法を否定し、言語教育は現実的な場面を想定した会話の中で行われるべきという考え方から生まれた教授法。オーディオリンガル・メソッドとは異なり、母語話者並みの発音やスピードを求めず、正確さよりもコミュニケーション能力の育成を中心とする。概念・機能シラバスを用いた現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で行い、その活動を通して文法や単語を身につけていくことを目標とする。また、インフォメーションギャップ(情報格差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)の3つの要素がコミュニケーションの本質であるという考え方に基づき、これらの要素を盛り込んだ活動を行うのが特徴的。フォーカス・オン・ミーニング(言語の意味重視)の教授法。

 4 ナチュラル・アプローチ (The Natural Approach)
 1980年代に注目された成人のための外国語教授法で、幼児の母語習得過程を参考にした聴解優先の教授法。クラッシェンのモニターモデルの仮説に基づき、学習者が自然に話し出すまでは発話を強制せず、誤りがあっても不安を抱かせないために直接訂正しないなどの特徴がある。発話が行われるまでの間は聴解練習のみ行われる。

 
 この問題はよく分かりません。特定の文型や表現を用いて作文を書く過程で文法や単語を身につけていくのはコミュニカティブ・アプローチに通じるところがあります。
 おそらく答えは3だと思います。

 

問2 談話のパターン

 AとBの似ている点を述べつつ、ある観点から見た比較・対照を行っています。
 したがって答えは2です。

 

問3 プロセス・アプローチ

 プロセス・ライティング/プロセス・アプローチ (The Process Approach)とは、作文を仕上げていくそのプロセスを重視した作文指導法のこと。計画、構想、下書き、推敲、教師による添削・フィードバックなどの繰り返しによって新しい発見をし、よりよい文章を再構築していくことを目的とする。教師は学習者のサポートを担う。

 選択肢3の「推敲を繰り返し」の部分が、プロセス・アプローチの特徴を説明したものです。
 したがって答えは3です。

 

問4 引用の指導

 選択肢1
 本来は「~な点は、~押し付けないことだ」とすべきで、主語と述語がねじれています。引用の指導は必要ありません。

 選択肢2
 「にとって」と「として」の混同が見られます。引用の指導は必要ありません。

 選択肢3
 「ああいう」と「そういう」の混同が見られます。直示や照応に関わる誤用で、引用の指導は必要ありません。

 選択肢4
 必要な「氏」がない誤用です。誰かの発言等を引用する場合は「~氏」とするべきで、引用の指導が必要あります。

 したがって答えは4です。

 

問5 ピア・レスポンス

 ピア・レスポンス (peer response)とは、作文を学習者同士で読み合い、フィードバックを行いながら作文を完成させていく活動のこと。

 1 ピア・レスポンス
 2 ピアサポートの記述だと思われます
 3 ディクトグロスの記述
 4 プロジェクトワークの記述

 したがって答えは1です。

 





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説