2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(10)解説

 (10)は「直接受身文における動作主の表示形式」の問題です。

 受身文の分類の一つに、動作主が取る助詞による分類があります。直接受身文では、動作主が取る助詞は「に」「から」「によって」の3つで、それぞれ用いる場面が異なります。

(1) 私は 先生(◯に/◯から/✕によって) 叱られた。
(2) 賞状は 校長先生(✕に/◯から/◯によって) 生徒に 送られる。
(3) 金閣寺は 足利義満(✕に/✕から/◯によって) 建てられた。

 「に」は動作主に対して最も一般的に用いられる助詞で、硬めの文体では「によって」を用いたほうが自然になります。例文(2)のようにその文中に他のニ格が存在する場合は、ニ格の重複を避けるために動作主はカラ格を取ります。また、「建てる」「作る」「描く」などの作成・生産に関する動詞を用いる場合は基本的に「によって」を用います。詳しくは「日本語の受身文、受動文の種類について - 動作主の表示形式による分類」にまとめてありますので、参考にしてください。

 各選択肢の受身表現を使って直接受身文の例文を考えてみます。

宇宙は神によって生み出された
金閣寺は足利義満によって建てられた
今の自分は過去の自分によって作られた
私は彼女見られた
『最後の晩餐』はレオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた

 選択肢4以外の動詞はいずれも作成・生産動詞ですので、動作主には複合助詞「によって」が用いられます。一方、選択肢4は「によって」を使うと不自然です。

 したがって答えは4です。





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説