言語の特徴と言語の類型について

 

言語の特徴

★☆☆ 言語記号の二面性

言語記号はシニフィアンとシニフィエの2つの異なる側面が恣意的に結びついたものであるという性質のこと。ここで述べられるシニフィアンとは言語の音声や文字、シニフィエとは意味内容を指す。例えば、「りんご」を表す記号は、「りんご」という文字や[riŋŋo]というのシニフィアンと、りんごについての概念や意味内容のシニフィエが結び付いてできていると考える。シニフィアンとシニフィエはフェルディナン・ド・ソシュール(Ferdinand de Saussure)によって名付けられた。

★☆☆ シニフィアン/能記 (signifiant)

フェルディナン・ド・ソシュール(Ferdinand de Saussure)によって提唱された概念。言語記号をなす2つの側面のうち、あるものを表す文字や音声のこと。

★☆☆ シニフィエ/所記 (signifié)

フェルディナン・ド・ソシュール(Ferdinand de Saussure)によって提唱された概念。言語記号をなす2つの側面のうち、あるものの概念や意味内容のこと。

★☆☆ 言語の恣意性

言語の文字や音声(シニフィアン)が、それが指し示す意味内容(シニフィエ)との間に必然的な繋がりがないこと。例えば、赤くて丸い果物を「りんご」と書いたり、[riŋŋo]と呼んでいるのは、昔からそのように呼んでいるからに過ぎない。日本語では[riŋŋo]と発音するものの、別の言語では別の呼び方をされているのはこのためだとされる。

★☆☆ 言語の線条性

言語は時間の流れに沿って発話または記述されるという性質のこと。人は同時に複数の発音をしたり記述することができないため、言語構造が時間による制約を受けていると考えられる。

★☆☆ 言語の超越性

言語が持つ、物理的に存在していないものや、目の前にない過去や未来のものについて話題にすることができる性質のこと。これによって過去を振り返ったり、将来の夢などについて語ることが可能となる。

☆☆☆ 言語の普遍性 (language universals)

全ての自然言語には、①主語、動詞、目的語という成分があり、②文法を持っており、③音声を媒介とするという3つの共通した特徴があること。

☆☆☆ 言語の生産性/言語の創造性

言語が持つ、初めて見る物体や物事を言語化することができ、新しい言語表現を際限なくいくらでも作れる性質のこと。

★☆☆ 言語の二重分節性

どの言語も有限の音素の組み合わせから無限ともいえる形態素を作り出すことができ、それが無限にある現象を文として産出することができるという言語の性質のこと。

☆☆☆ 言語の文化的伝承性

言語はその共同体で使用されている言語の話し手を通じて生後学習し習得され、次の世代へと文化的に伝承されていく言語の性質のこと。

 
 

言語類型論/言語の分類

統語的類型

言語を主語(S)、目的語(O)、動詞(V)の三要素の基本語順から分類するもの。以下「語順 – Wikipedia」参照。

類型 言語の数 該当する言語
SOV型 565 日本語、琉球語、アイヌ語、アルタイ諸語、インド・イラン語派、ドラヴィダ語族、チベット・ビルマ語派、ニヴフ語、ウィルタ語、ブルーシャスキー語、パーリ語、朝鮮語、アムハラ語、エスキモー語、チュクチ語、テュルク諸語、アイマラ語、ケチュア語、ナバホ語、ホピ語、バスク語、シュメール語、アッカド語、ヒッタイト語、エラム語…
SVO型 488 英語、フランス語、中国語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、カタルーニャ語、ルーマニア語、ブルガリア語、現代ギリシア語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、タイ語、ラーオ語(ラオス語)、ベトナム語、ジャワ語、インドネシア語、マレー語(マレーシア語)、クメール語(カンボジア語)、スワヒリ語、現代アラビア語諸方言、ハウサ語、ヨルバ語、グアラニー語、ナワトル語…
VSO型 95 古典アラビア語、ヘブライ語、アラム語、フェニキア語、古代エジプト語、ゲエズ語、ゲール語、古典マヤ語、タガログ語、セブアノ語、イロカノ語、マオリ語…
VOS型 25 フィジー語、ツォツィル語…
OVS型 11 ヒシカリヤナ語…
OSV型 4 シャバンテ語…
基本語順なし 189

形態的類型

言語を語形変化から分類するもの。膠着語、屈折語、孤立語、抱合語に分けられる。

★☆☆ 膠着語 (agglutinating language)

言語類型論における形態論の特徴に基づいた言語の分類の一種で、実質的な意味を担う語幹に接辞を接続することによって語形変化する言語のこと。「食べる」の語幹「tabe」に屈折接辞「ru」がつくような変化を持つ。トルコ語、ウイグル語、ウズベク語、モンゴル語、日本語、朝鮮語(韓国語)、フィンランド語、人工言語のエスペラントなどがこれに該当する。

★☆☆ 屈折語 (inflectional language)

言語類型論における形態論の特徴に基づいた言語の分類の一種で、文法的機能を表す形態素が、語の内部に分割できない形で埋め込まれる言語のこと。つまり、語そのものが変化する言語のこと。ラテン語、ギリシア語、ロシア語などがこれに該当する。

★☆☆ 孤立語 (isolating language)

言語類型論における形態論の特徴に基づいた言語の分類の一種で、全ての語が語形変化しない言語のこと。中国語、ベトナム語、ラオス語、タイ語、クメール語などがこれに該当する。

★☆☆ 抱合語 (polysynthetic language)

言語類型論における形態論の特徴に基づいた言語の分類の一種で、特に動詞に他の意味的または文法的な要素が接続され、語だけで文に相当する意味を表現することができる言語のこと。アイヌ語など。





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