動詞の分類について

目次

  • 独立的な働きを果たすか、文法的な役割を果たすかによる分類

 

項の数による分類

一項動詞、二項動詞、三項動詞の3つに分類される。

★★☆ 項

語彙によって選択されている要素のこと。

★★☆ 動詞の項

動詞が取る動作主や動作の対象、目的語のこと。日本語では、その数によって一項動詞、二項動詞、三項動詞に分けられる。

★☆☆ 一項動詞

最低一つの項を取る動詞のこと。ガ格名詞句が項となるため、「~がV」の形となる。光る、吹く、降る、暴れる、腐る…

★☆☆ 二項動詞

最低二つの項を取る動詞のこと。二つの項のうち一つはガ格名詞句で、もう一つはヲ格名詞格、ニ格名詞格、ト格名詞句のいずれかが項となる。

~が~を 食べる、飲む、殴る、消す、止める…
~が~に ぶつかる、当たる、触れる、謝る、投げる…
~が~と
相互動詞
結婚する、喧嘩する、競う、争う、別れる、戦う…

★☆☆ 三項動詞

最低三つの項を取る動詞のこと。あげる、もらう、くれる、借りる、貸す、教える…

 
 

目的語を取るかどうかによる分類

自動詞と他動詞の2つに分類される。

★★★ 自動詞

目的語をとらない動詞のこと。意志を持って行われた動作ではなく、自然発生した現象や状態の変化を表す。また、飛ぶ、降りる、上がる、登るのようなヲ格を取る移動動詞も自動詞に分類される。

冷える、落ちる、溶ける、帰る、変わる、閉まる、生きる、歪む、傷む、沈む、入る、育つ、立つ、揃う、刺さる、産まれる、焼ける…

★★★ 他動詞

目的語をとる動詞のこと。意志を持って行われる動作を表す。他動詞は動作主が目的語に対して何らかの影響を及ぼしたり、物を変化させる性質を持つ。

食べる、書く、落とす、冷やす、取る、洗う、削る、探す、求める、恵む、受ける、注ぐ、閉める、変える、育てる、刺す、産む、焼く…

 
 

対になる自動詞や他動詞があるかどうかによる分類

有対動詞と無対動詞の2つに分類される。

★☆☆ 有対動詞

「開く-開ける」のように、お互いに対応する自動詞と他動詞がある動詞の組み合わせのこと。

有対他動詞 有対自動詞
増やす 増える
見つける 見つかる
戻す 戻る
届ける 届く
沸かす 沸く
壊す 壊れる
消す 消える
破る 破れる
下げる 下がる
焼く 焼ける
変える 変わる
割る 割れる
無くす 無くなる
落とす 落ちる
決める 決まる
始める 始まる
出す 出る
減らす 減る
つける つく
集める 集まる
汚す 汚れる
上げる 上がる
冷やす 冷える
起こす 起きる
折る 折れる
返す 返る
売る 売れる
溶かす 溶ける
切る 切れる
閉める 閉まる
続ける 続く
止める 止まる
並べる 並ぶ
かける かかる
倒す 倒れる
開ける 開く
入れる 入る
直す 直る
回す 回る
煮る 煮える
温める 温まる
片付ける 片付く

☆☆☆ 有対自動詞

「開く-開ける」のような有対動詞のうち、自動詞の方のこと。

☆☆☆ 有対他動詞

「開く-開ける」のような有対動詞のうち、他動詞の方のこと。

★☆☆ 無対動詞

「死ぬ」「泳ぐ」「走る」「感じる」「話す」「忘れる」などの、対応する他動詞や自動詞がない動詞のこと。

☆☆☆ 無対自動詞

無対動詞のうち、「死ぬ」「泳ぐ」「走る」などの対応する他動詞がない自動詞のこと。

☆☆☆ 無対他動詞

無対動詞のうち、「感じる」「話す」「忘れる」などの対応する自動詞がない他動詞のこと。

 
 

金田一晴彦による4分類

金田一によるものとは関係のない動詞の分類に「動き動詞(非状態動詞)」がある。動き動詞(非状態動詞)は動作動詞、変化動詞の2つに分けられ、それぞれ金田一による分類の継続動詞、瞬間動詞と同じものを指す。

★★★ 状態動詞

動作や変化ではなく、状態を表す動詞のこと。通常「~ている」の形をとらない。優れる、尖る、濁る、似る、ある…

ある、いる、できる、要る…

★★★ 継続動詞/動作動詞

継続的なある動作を表す動詞のこと。「~ている」の形で動作が継続していることを表す。動作動詞とも呼ばれる。

読む、書く、食べる、降る、泣く、笑う…

★★★ 瞬間動詞/変化動詞

瞬間的に終わる動作を表す動詞のこと。「~ている」の形で結果の状態を表す。動作が行われる前後で変化が生じていることから変化動詞と呼ばれることもある。

死ぬ、つく、消える、見つかる、始まる、終わる、知る…

★★★ 第四種の動詞

形容詞的に用いられ、物事の性質や様子を表す動詞のこと。常に「~ている」の形で用いられる。

そびえる、優れる、劣る、似る、澄む…

 
 

意志の有無による分類

意志動詞と無意志動詞の2つに分類される。

★★★ 意志動詞

主語の意志によって行うことができる動作を表す動詞のこと。

する、食べる、飲む、取る、蹴る、見る、探す、座る、立つ、盗む…

★★★ 無意志動詞

主語の意志によってコントロールできない動作を表す動詞のこと。無意志動詞は、意志を伴って行う命令、禁止、願望、意向などの表現を通常持たない。ただし、「信号赤に変わるなよ」「雨降るなよ」のような否定の禁止や、「早く終われ」「雨早く止んでくれ」「そのまま苦しんでろ」のような否定的な願望については用いられることがある。

なる、ある、いる、できる、流れる、崩れる、閉まる、吹く、要る、決まる…

意志動詞 無意志動詞
命令 食べろ ✕あれ
禁止 食べるな ✕あるな
意向 食べよう ✕あろう
依頼 食べてくれ ✕あってくれ
願望 食べたい ✕ありたい
可能 食べられる ✕あれる
受身 食べられる ✕あられる
使役 食べさせる ✕あらせる

 
 

活用による分類

五段動詞、一段動詞、不規則動詞の3つに分類される。

★★★ 五段動詞/子音語幹動詞/u-verb/う-verb/グループⅠ

辞書形が「-u」で終わり、活用語尾がアイウエオ全段で活用する動詞のこと。語幹が子音で終わるため、子音語幹動詞ともいう。

歩く、吹く、飲む、聞く、なる、吐く、走る、ある、立つ、上がる、下がる、使う、動く、降る、知る、落ち着く、繋がる、帰る、持つ…

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
書く

★★★ 一段動詞/母音語幹動詞/ru-verb/る-verb/グループⅡ

辞書形が「-ru」で終わり、全ての活用語尾にイ段またはエ段が含まれる動詞のこと。下位区分として、全ての活用語尾にイ段が含まれる上一段活用、エ段が含まれる下一段活用がある。語幹が母音で終わるため、母音語幹動詞ともいう。

用いる、起きる、寝る、見る、いる、調べる、落ちる、続ける、離れる、分ける…

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
起きる
(上一段)
きる きる きれ きろ/きよ
食べる
(下一段)
べる べる べれ べろ/べよ

★★★ 不規則動詞/グループⅢ

活用が不規則な「する」と「来る」のこと。「する」はサ行変格活用、「来る」はカ行変格活用という。

基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
する する する すれ しろ/せよ
来る くる くる くれ こい

 
 

形態素の数による分類

単純動詞と複合動詞の2つに分類される。

☆☆☆ 単純動詞

1つの自由形態素からなる動詞のこと。

★★★ 複合動詞 (compound verbs)

2つ以上の自由形態素からなる複合語のうち、後部要素が動詞からなる語のこと。「取り出す」「逃げ回る」「話しかける」「走り切る」など。後部要素の動詞が担う意味・機能によって、統語的複合動詞と語彙的複合動詞の2つに分けられる。
詳しくは以下を参照。
形態、音素、語構成、語彙まとめ – 複合動詞 (compound verbs)
形態、音素、語構成、語彙まとめ – 統語的複合動詞
形態、音素、語構成、語彙まとめ – 語彙的複合動詞

取る、出す、逃げる、回る、話す、かける、走る、切る、食べる、込む…

 
 

独立的な働きを果たすか、文法的な役割を果たすかによる分類

本動詞と補助動詞の2つに分類される。

☆☆☆ 本動詞

補助動詞に先行して本来の意味で用いられる動詞のこと。複合動詞の前部要素のこと。

「話し込む」の「話し」、「差し出す」の「差し」、「刈り取る」の「刈り」…

★☆☆ 補助動詞

別の動詞に後続して文法的な機能を果たす動詞のこと。統語的複合動詞の後部要素のこと。

「降り出す」の「出す」、「笑い飛ばす」の「飛ばす」、「飲み干す」の「干す」…

 
 

行為がウチとソトのどちらから行われるかによる分類

求心的動詞と遠心的動詞の2つに分類される。

★☆☆ 求心的動詞/求心的方向の動詞

「くれる」「もらう」「借りる」「買う」など、行為がソトからウチへ向かう動詞のこと。

★☆☆ 遠心的動詞/遠心的方向の動詞

「あげる(やる)」「預ける」「貸す」「売る」など、行為がウチからソトへ向かう動詞のこと。

 
 

その他分類

存在動詞 存在を表す動詞のこと。ある、いる
授受動詞 物の所有権の移動を表す動詞のこと。あげる、やる、もらう、くれる、差し上げる、いただく、くださる、渡す、与える、受ける…
移動動詞 主体の位置を変えるような動作を表す動詞のこと。行く、来る、入る、出る、進む、戻る、上る、下りる、帰る、落ちる、泳ぐ、走る、歩く、渡る…
知覚動詞
(感覚動詞)
目や耳、鼻、舌、肌などの感覚器官に関係する動詞のこと。見る、聞く、感じる、匂う、気づく…
心理動詞 心の中で感じたり思ったりと、内で完結して対象に作用しない動詞のこと。 思う、怒る、愛する…
認識動詞 理性的に行われる思考を表す動詞のこと。思う、考える…
遂行動詞 禁止する、約束する、命じる、お勧めする、提案するなど、発話した時点でその動作を行ったことになる動詞のこと。オースティン(J.L.Austin)の用語。






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