アクセントとプロソディ、発音について

目次

 

アクセントとプロソディ

★☆☆ 超文節的特徴/韻律的特徴 (suprasegmental features)

子音や母音などの音素や文に付加される音声特徴の総称。アクセント・イントネーション・リズム・速さ・ポーズ・プロミネンス・強調などを指す。

★★★ アクセント (accent)

ある言語において、言葉ごとに決められている音の相対的な高低や強弱の配置のこと。アクセントは高低アクセントと強弱アクセントに大別される。

★★★ 高低アクセント/ピッチアクセント (pitch accent)

音の相対的な高低で定められたアクセントのこと。

★☆☆ 強弱アクセント/強勢アクセント/ストレスアクセント (stress accent)

音の相対的な強弱で定められたアクセントのこと。

アクセントの機能

★★☆ 統語機能/アクセントの統語機能

アクセントが果たす機能のうち、1語をまとめ、言葉と言葉の切れ目を認識させる機能のこと。例えば、「庭には二羽にわとりがいる」ではアクセントによって切れ目が生じ、言葉を正しく相手に認識させることができる。

★★☆ 弁別機能/アクセントの弁別機能

アクセントが果たす機能のうち、アクセントが異なることで意味が弁別される機能のこと。例えば、「橋」と「箸」ではアクセントが異なるために意味が弁別される。

★★★ アクセント型/アクセントの型

言葉ごとに決められているアクセントの形式のこと。日本語の標準語(全国共通語)のアクセント型は、アクセント核のない平板式、アクセント核のある起伏式に分けられ、起伏式はさらに、アクセント核の位置によって頭高型、中高型、尾高型の3つに分けられる。平板式の語を無核句、起伏式の語を有核句とも呼ぶ。単語のアクセントの違いは助詞をつけたところまで含まれる。

核の有無 無し 有り
種類 平板式 起伏式
平板型 頭高型 中高型 尾高型
核の位置 無し 最初の拍 途中の拍 最後の拍
太もも 眉毛 おでこ あたま
+(助詞) ふとももが まゆげが おでこが あたまが

★★★ アクセント核/アクセントの核 (lexical pitch accent)

高低アクセントによって意味を区別する言語における、音が低くなる直前の高い部分のこと。例えば、子猫(こねこ)の「ね」がそれにあたる。

★★☆ 平板型/平板式平板型

日本語の標準語(全国共通語)のアクセント型のうち、アクセント核がない語のこと。

★★☆ 頭高型/起伏式頭高型

日本語の標準語(全国共通語)のアクセント型のうち、アクセント核が最初の拍に来る語のこと。

★★☆ 中高型/起伏式中高型

日本語の標準語(全国共通語)のアクセント型のうち、アクセント核が途中の拍に来る語のこと。

★★☆ 尾高型/起伏式尾高型

日本語の標準語(全国共通語)のアクセント型のうち、アクセント核が最後の拍に来る語のこと。

★☆☆ 平板化/アクセントの平板化

「ドラマ」「彼氏」「バイク」「美人」「令和」などの語が、若者を中心に平板型のアクセントで発音される現象のこと。これらの語のアクセントは本来平板型ではない。

☆☆☆ 無アクセント言語

語に固有のアクセントを持たない言語のこと。韓国語(ソウル方言)は無アクセント言語で、アクセントの違いが語の意味を変えることはない。

★★★ プロソディ/韻律 (prosody)

音声的な表記から決定することができない音声学的性質のことで、イントネーションやプロミネンス、リズムなどの要素のことを指す。例えば、「あの人、学生じゃない」という表記からは、疑問の「あの人、学生じゃない?」や否定の「あの人、学生じゃない」のような複数の意味が推測されるが、実際に発話される場面でイントネーションやプロミネンスなどが付加されることで意味が一つの決定される。このようなイントネーションやプロミネンス、リズムなどの表記だけからは決定することができない音声学的要素のことを指す。これらにはアクセントを含むこともある。

★★★ イントネーション/抑揚 (intonation)

話すときの声の上がり下がりのこと。感情のこもった「そんなわけないじゃん!」や「本当に!?」などは文頭イントネーションが変わったり、疑問文では文末が上昇調になったりする。

★★★ プロミネンス/卓立 (prominence)

発話の中の特定の部分を他の部分よりも強調して言うこと。

★★☆ リズム (rhythm)

強勢や音節、モーラなどが時間的に等間隔で繰り返されることによって生じる律動のこと。強勢リズムと音節リズムに大別される。モーラリズムは音節リズムの下位区分。

種類 説明 言語
強勢リズム
(強勢拍の言語)
強勢のある音節が時間的にほぼ等間隔に繰り返される言語のこと。 英語、ロシア語、ドイツ語など。
音節リズム
(音節拍の言語)
各音節が時間的にほぼ等間隔に現れる言語。 中国語、スペイン語、フランス語など。
モーラリズム
(モーラ拍の言語)
モーラについて等時性をなしている言語。 日本語が代表的。

★☆☆ フット (foot)

リズムのひとまとまりのこと。モーラリズムである日本語では、2拍が1フットとなる。例えば、「ポケモン」は「ポケ」と「モン」の2つのフットで形成されている。また、日本語ではリズムを1フットに維持するために、1拍の音が2拍分に引き伸ばされて1フットとなることがある。例えば、曜日のうち「月」「水」「木」「金」「日」はもともと2拍なのに対し、「火」と「土」は1拍だが、「月火水木金土日」と読み上げる際は、「火」と「土」が「かー」「どー」と拍が引き伸ばされて2拍となる。これは別の曜日の拍数に合わせ、全体のフットを整えて規則的なリズムを刻むためである。

本来の読み げつ すい もく きん にち
全体としての読み げつ すい もく きん にち

さらに詳しい内容は「日本語のフットについて」でまとめてあります。

★☆☆ 強勢リズム/強勢拍の言語

強勢のある音節が時間的にほぼ等間隔に繰り返される言語のこと。英語、ロシア語、ドイツ語など。

★☆☆ 音節リズム/音節拍の言語

各音節が時間的にほぼ等間隔に現れる言語。中国語、スペイン語、フランス語など。下位区分にモーラリズムがある。

★★★ 音節 (syllable)

1つの母音を中心に、その母音単独、あるいはその母音の前後に1個または複数個の子音を伴って構成する音声(群)で、音声の聞こえの一種のまとまりのこと。例えば、「にほんごきょういく」は6音節となる。

日本語教育
に/ほ/ん/ご/きょ/う/い/く(8拍)
音節 に/ほん/ご/きょう/い/く(6音節)

★☆☆ 開音節 (open syllable)

母音が最後にくる音節のこと。日本語は子音+母音、あるいは母音単体で1拍、1音節を形成するので開音節の語が多い。

★☆☆ 閉音節 (closed syllable)

子音が最後にくる音節のこと。例えば、英語のshock [ʃɑ́k]は、最後が子音「k」で終わるため閉音節である。英語は開音節の語もあるが、閉音節の語のほうが圧倒的に多い。また、日本語は1つの母音、または子音+母音が1拍、1音節となるため、子音で終わる語「shock」のような語を取り入れる際は最も音が近い「ウ」を付け加え、「ショック」となって取り入れられる。

★☆☆ モーラリズム/モーラ拍の言語

モーラについて等時性をなしている言語。日本語が代表的。上位区分に音節リズムがある。

★★★ モーラ/拍 (mora)

音韻論上、一定の時間的長さをもった音の分節単位のこと。日本語では拗音が伴う2文字と拗音以外の特殊拍を含む仮名1文字が1拍にあたる。例えば、「にほんごきょういく」は8拍となる。

日本語教育
に/ほ/ん/ご/きょ/う/い/く(8拍)
音節 に/ほん/ご/きょう/い/く(6音節)

★★☆ 等時性 (isochronism)

何らかの音声的な単位が時間的にほぼ等間隔に現れる性質のこと。例えば、日本語は仮名1文字がおよそ1モーラに対応しており、その1拍1拍が時間的に等間隔に並ぶ。これを拍の等時性という。

★★★ 特殊拍

長音、促音、撥音の総称。単独で音節を形成できず、1拍にはなっても1音節とはならない。そして前後の環境によって出現する音が決まるという共通した特徴がある。また、語頭や音節頭には現れないため、出現は音節の後部要素に限定される。

★★★ 長音

「-」のこと。1モーラを形成し、前の母音が1拍文引き伸ばされる。

★★★ 促音

「っ」のこと。1モーラを形成する。語頭にも語末にも表れず、必ず先行する音、後続する音を必要とする。

★★★ 撥音

「ん」のこと。1モーラを形成する。

 
 

発音

★★★ 清音

撥音と促音を除き、濁点も半濁点もつけない仮名の音のこと。

あ、い、う、え、お、か、き、く、け、こ、さ、し、す、せ、そ、た、ち、つ、て、と、な、に、ぬ、ね、の、は、ひ、ふ、へ、ほ、ま、み、む、め、も、や、ゆ、よ、ら、り、る、れ、ろ、わ

★★★ 濁音

濁点をつけて表される音のこと。

が、ぎ、ぐ、げ、ご、ざ、じ、ず、ぜ、ぞ、だ、ぢ、づ、で、ど、ば、び、ぶ、べ、ぼ(ぎゃ、ぎゅ、ぎょ、じゃ、じゅ、じょ、ぢゃ、ぢゅ、ぢょ、びゃ、びゅ、びょ)

★★★ 半濁音

半濁点をつけて表される音のこと。

ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ(ぴゃ、ぴゅ、ぴょ)

★★★ 直音

一つの母音または一子音と一母音からなるもののこと。促音・撥音を除き、五十音及び濁音、半濁音のことを指す。通常仮名一字で表され、単独で1モーラ(1拍)を形成する。拗音の対となるもの。

★★★ 拗音

「しゃ」「しゅ」「しょ」のように、「ャ」「ュ」「ョ」を添えて表される音節のこと。子音と半母音と母音から構成される。直音の対となるもの。

☆☆☆ 拗音の直音化

「しゃ」「しゅ」などの拗音を「さ」「す」と発音する現象のこと。出発が「しっぱつ」、手術が「しじゅつ」「しゅじつ」となったりする。
詳しくは以下を参照。
日本語の変音現象について - 拗音の直音化

☆☆☆ 平音

韓国・朝鮮語における無気音のこと。

☆☆☆ 激音

韓国・朝鮮語における有気音のこと。

☆☆☆ 濃音

韓国・朝鮮語において、息を吐かずにする発音のこと。







日本語教育能力検定試験 解説, 用語集