平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

問1 スクリプト

 その話題に関して既に持っている知識スキーマ(既有知識)と言います。例えば「飲み物」というスキーマには、水やコーラなど様々な知識が入っています。
 スクリプトとは、一連のスキーマの流れのことです。例えばレストランでのスクリプトでは、入店して、席に座り、注文して、食べて、会計し、退店する…のような一連の手続き的な知識となります。

 したがって答えは4です。

 

問2 橋渡し推論

 推論とは、読解において文章中に明示されていない情報を予想することです。橋渡し推論と精緻化推論に分けられます。

 橋渡し推論とは、直接表現されていないことを、文脈や既有知識によって理解することです。

向こうで一輪車を練習してた子供が大きい声で泣いていた。私は近づいて、「大丈夫?」と声をかけた。

 このような文章の中で、「子供は一輪車から落ちて怪我をした」という推測が橋渡し推論にあたります。橋渡し推論は読解中に常に行われており、正しく推論できなければ理解に大きな支障が生じます。

 精緻化推論とは、文章から読み取った事柄をもとに具体的なイメージを膨らませることです。主人公の顔、髪型、表情、性格、様子を想像したりするのがこれにあたります。想像したイメージは人によって異なります。橋渡し推論とは異なり、精緻化推論ができなくても理解には影響しません。

 1 橋渡し推論
 2 橋渡し推論
 3 橋渡し推論
 4 具体的な想像を伴うのは精緻化推論

 したがって答えは4です。

 

問3 スキャニング

 選択肢1
 スキミングの説明です。スキミング (skimming)とは、文章の要点や全体の大意を理解するための読み方で、速読の一種です。

 選択肢2
 スキミングの説明です。

 選択肢3
 スキャニングの説明です。スキャニング (scanning)とは、大量の文章から特定の情報を探し出すための読み方で、速読の一種です。名簿から特定の名前を見つけたり、辞書で言葉の意味を調べるときなどに用います。

 選択肢4
 多読の説明です。

 したがって答えは3です。

 

問4 補償ストラテジー

 学習する際に用いるストラテジーのことで、記憶、認知、補償、メタ認知、情意、社会的の6つに分類される。目標言語に直接かかわる記憶ストラテジー、認知ストラテジー、補償ストラテジーの3つを直接ストラテジー、言語学習を間接的に支えるメタ認知ストラテジー、情意ストラテジー、社会的ストラテジーの3つを間接ストラテジーと呼ぶ。

分類 種類 説明
直接 記憶 記憶するために用いられるストラテジーのこと。知識と知識の知的連鎖を作ったり、語呂合わせなどで音やイメージを結びつけたり、繰り返し復習したり、単語カードを使ったりなどが挙げられる。
認知 理解を深めるために用いられるストラテジーのこと。メモしたり、線引きしたりなどが挙げられる。
補償 足りない知識を補うために用いるストラテジーのこと。分からない言葉を文脈から推測したりするなどが挙げられる。
間接 メタ認知 言語学習を間接的に支える間接ストラテジーのうち、学習者が自らの学習を管理するために用いるストラテジーのこと。学習のスケジューリングをしたり、目標を決めたりすることなどが挙げられる。
情意 学習者が自らの感情や態度や動機をコントロールするために用いるストラテジーのこと。自分を勇気づけたり、音楽を聴いてリラックスしたりすることなどが挙げられる。
社会的 学習に他者が関わるストラテジーのこと。質問をしたり、他の人と協力することなどが挙げられる。

 単語や音、文法などの言語知識を用いて、細かい部分から徐々に理解を進めていく言語処理方法をボトムアップ処理といいます。言語能力が不十分な学習初期の学習者がトップダウン処理を用いて理解しようとするのは、言語学習ストラテジーの補償ストラテジーです。補償ストラテジーとは、足りない知識を補うために用いるストラテジーです。分からない言葉を文脈から推測したりするのがこれに当たります。

 したがって答えは4です。

 





平成25年度, 日本語教育能力検定試験 解説