平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

問1 会話の構造や流れ

 選択肢3は協調の原理についての説明です。
 グライスが提唱した会話を円滑に進めるための原理を「協調の原理」と呼び、量の公理、質の公理、関係の公理、様式の公理(様態の公理)の4つ会話の公理からなります。

量の公理 会話するにあたって必要な情報を提供すること。少なすぎても多すぎても良くないとする。
「授業は何時ですか?」に対して「もうすぐです」は情報が少なく、「4時0分0秒です。」は余計な情報が付加されています。
質の公理 自分が真実ではないと知っていることや確信に達していないことについて言わないこと。嘘や皮肉などがこれにあたります。
関係の公理 話題にあがっていることと関係のあることを話すこと。
様式の公理
様態の公理
不明瞭で曖昧な表現を使わずに簡潔に言うこと。

 3だと思ったのですが、なぜか答えは2です。
 3のほうが適切だと思います。

 

問2 ターン・テイキング

 1 イメージ・スキーマ
 その話題に関して既に持っている知識をスキーマ(既有知識)と言います。

 2 コード・スイッチング (code switching)
 相手や場面、話題に応じて言語そのもの、あるいは同一言語内の言語変種を使い分けること。標準語も方言を言語変種のため、これらを使い分けることもコードスイッチングの一種となる。これらは会話的コードスイッチング、状況的コードスイッチング、隠喩的コードスイッチングの3つに分けられる。

 3 ターン・テイキング (turn taking)/話者交替
 話者が交互に話すこと。または、ターンを積極的に取ろうとすること。

 4 発語行為(スピーチ・アクト)
 オースティン (J.L.Austin)が提唱した発話行為理論の発話によって得られる行為の3段階のうち、発話そのものの行為のこと。例えば、火災が発生している現場である人が「火事だ!」と叫ぶ、その発話そのものを指す。

 したがって答えは3です。

 

問3 前終結

 会話の終結部は、2つの手続きからなります。
 1つ目は「前終結 (pre-closing)」で、相手に会話を終結させることに同意するかどうかを確認します。同意しない場合は、話すべき残された話題を提示し、同意した場合は2つ目の手続きに移行します。
 2つ目は「終結/最終交換/最終発話交換 (closing)」で、ここでは異なる話者によって対となる発話がなされ、会話は終結します。

 したがって答えは2です。

 

問4 学生の正しい発話・行動

 この学生は話を一気に切り上げて部屋を出たので、失礼な印象を与えています。一気に切り上げないような発話・行動にすべきです。

 1 ポーズを置くことで、自然な切り上げができます。
 2 正しいです。
 3 正しいです。
 4 謙譲語にしたところで、一気に切り上げたら失礼です。

 したがって答えは4です。

 

問5 会話を相互行為として捉えた教育

 1 文型を使った応答練習は応答練習に過ぎませんので、自然な会話とは言えません。
 2 自由会話なので、自然な会話です。
 3 ペアワークの過程で、学習者間で自然な会話が生まれます。
 4 ロールプレイは、自然な会話が求められます。

 したがって答えは1です。

 





平成23年度, 日本語教育能力検定試験 解説